小日向文世「飲んでいたら気絶。網膜剥離始まった」

引用元:日刊スポーツ
小日向文世「飲んでいたら気絶。網膜剥離始まった」

イッセー尾形(67)小日向文世(66)大泉洋(46)が10日、都内で、出演する3人芝居「ART」の取材会に出席した。大親友のマルク、セルジェイ、イヴァンが現代アートをめぐって織りなす人間模様を描く。

マルク役の尾形は「台本を読んだ限りは、アートを取り上げる受信機が壊れたような男。これはいくらするんだとかのリアリスト」。セルジュ役の小日向は「皮膚科医です。白い絵を購入して、イッセーさんとは、かなりやりあいます」。イヴァン役の大泉は「2人のけんかに巻き込まれていくかわいそうな人。なんとか稽古の間に台本を変えられれば」と話した。

一人芝居が基本の尾形は「僕は1人が長いんで。むしろ3人で大丈夫かという思いがある。他の2人は何をやるんだろうと、不安もあるし、関心もある」と話した。

小日向は「翻訳ものって、よくしゃべる。自己主張が強くて、延々とやり合う。舞台のしんどさは、始まるとワンカット。どんなにミスろうと続く。長生きしたいんですが、血圧が上がるんですよ。つい最近、映画祭で愛媛行って飲んでいたら気絶した。多分、脳貧血。つい最近も、目がちかちかした。網膜剥離が始まったらしい。10年くらい病院行ってないんですよね。とりあえず、この舞台終わったら病院に行きます。それまでは1日休んだら、2日飲まない」。尾形が「それならいいかも」と言うと、大泉が「いや、すぐ検査に行ってください」と突っ込んだ。

大泉は「この芝居の話をいただいたのは、何年も前。舞台とかやらないから『ART』も知らなかった。でも、イッセーさんと小日向さんじゃ、やるしかない。こんなすごい人たちと、舞台というごまかしのきかないところに立っちゃうのは、これからもそうはないと思うので、幸せをかみしめながら稽古と本番を過ごしていきたい」と話した。

互いの印象について、イッセーは大泉を「天才」、小日向を「秀才」。大泉について「なにか降りてくるんでしょうね」。小日向については「舞台をやる中で、見る見る成長していく、そういう人」と評した。

小日向は「僕は自由劇場が解散するまでいた。イッセーさんは高田純次さんとかと1期生で、僕は5期生。大泉君は僕が初めて映画に主演した時に共演して、北海道ロケの時にテレビをつけると、しょっちゅう出ていた。北海道じゃスターで、東京に出てきてアッという間に売れた。この3人でやれるのは光栄です」と話した。

大泉は「イッセーさんは神様みたいな人。小学生の時に『お笑いスター誕生』に出ているのを見てた。大学に行ってお芝居をするようになって、当時付き合っていた彼女と(尾形の)芝居を見に行っていた。大学に入ってからは演劇青年だったから、小日向さんはこんなにうまい人っているのかと思った。この2人なら、どんな酷い台本だとしても、出るつもりだった(笑い)。こんな光栄なことはない」と話した。

喜劇を演じる難しさについて、イッセーは「喜劇をずっとやっていました。だから難しいと思ったことはなかった。だけど1人でやってきたから、2人の風向きがどっちに向いているのか分からない」。小日向は「作品を知らなくて、喜劇だと思っていなかった。基本的にはアプローチは変わらない。一生懸命にやることで、結果的に笑ってくれるんだと思う」。大泉は「喜劇と言っても、笑わそうとするのは違う。お客さんが笑ってしまう。僕は笑いを取りに行っちゃうのがいけない。自分がもらった役を、どれだけ一生懸命やれるかだと思う」と話した。

尾形は「3人いるけど、僕ら2人(尾形、小日向)はアートにどっぷり。大泉さんの役は半分だけつかって、せりふもたくさんあって躍動感がある。だから、すごく期待しています」。小日向は「すさまじいセリフの量だけど、大泉君は落語が好きだから大丈夫。大泉君(の役)が立ち上がれば、僕らが立ち上がる」。大泉は「すごい長ぜりふがある。僕が役者になってから一番だと思う。でもイッセーさんが『あのせりふ、間違えても誰も気が付かないよ』って言ってくれた。疲れたときはショートバージョンにしようかと思う(笑い)。ト書きもなく丸々4ページ。あれを飽きさせずに聞かせるのは大変だと思う」と話した。

自身の役について、尾形は「今日、本読みをしてみて、ざっくり言えば同じようなせりふを言う。その中で、大泉さんの役が変化するので、指標としてはかっていけば(せりふを)覚えられると思う」。小日向は「基本的にずーっといら立っている役。一番怖いのは、後半のセリフをとばしちゃうんじゃないかということ」。大泉は「イヴァンは事なかれ主義というか、楽しくやりたい人。セルジュについて丸く収めようとすると、そのセルジュに責められる。で、キレる。そういう人なんです」と話した。

演出は小川絵梨子氏。3月20~22日・埼玉「彩の国さいたま芸術劇場」、3月25~4月6日・大阪「サンケイホールブリーゼ」、4月9~26日・東京「世田谷パブリックシアター」で上演される。