ジェーン・フォンダ、反逆女優はいつもセクシー! はみだしバッドボーイズ

引用元:夕刊フジ

 【はみだしバッドボーイズ】

 “あのジョーカーも気候変動デモで逮捕!”とホアキン・フェニックスが米議事堂前の抗議行動で逮捕されたニュースが流れたのは1月初め。彼やマーティン・シーンらに参加を呼びかけ、一緒にパクられたのがジェーン・フォンダだ。

 「社会や政府の不正に意思表示したくても、やり方を知らない若い世代に、こうやって教えるのよ」。翌朝保釈されると82歳とは思えぬ美しい笑顔でニッコリ。

 72年、ベトナムの戦場キャンプで、テントに映画「バーバレラ」のセクシー写真を貼って、孤独と不安の慰めにしていた兵士はビックリしただろう。憧れのセックス・シンボルが北ベトナム軍の敵地から「戦いをやめて! 敵はこの人たちじゃないのよ」とラジオで呼びかけてきたのだから。

 ヘンリー・フォンダの娘に産まれたが、母親は夫の浮気に苦しみ、彼女が10代の時に自殺。真実を知った弟のピーターはロスの荒くれバイカー集団、ヘルズ・エンジェルスとつるみ父親に反抗。

 姉もパリに飛び、仏監督ロジェ・バディムと電撃結婚。新時代のトップ・セクシー女優ともてはやされたかと思うと、インドを旅して開眼。平和の女性戦士“ハノイ・ジェーン”となり、反戦デモの先頭に立っていた。

 過激な行動は退役軍人会から激しくバッシングされたが、帰還兵士の物語「帰郷」、原発事故の脅威を描いた「チャイナ・シンドローム」、キャリアウーマンたちの痛快コメディー「9時から5時まで」をヒットさせた。80年代には「ジェーン・フォンダのワークアウト」のビデオや本がベストセラーとなり、CNNの大富豪、テッド・ターナーと3度目の結婚。

 フォンダ一家の愛憎劇のフィナーレは81年。長い不和だった父と娘が和解を遂げるベストセラー小説「黄昏」を、父親を主役に映画化。その年のアカデミー賞でヘンリーは生涯初の主演男優賞に輝いた。フォンダ一家の壮絶なドラマは感動のハリウッド神話として語り継がれている。この5カ月後、ヘンリーは家族に見守られて他界した。

 ピーターは「イージー・ライダー」以降、浮き沈みのある歳月を送ったが、娘ブリジッドをスターに育てた。昨年、くしくもウッドストック50周年の8月16日に他界。多くの人々の夢を負って、自由を探す旅に出たのだろう。=おわり(ロックランナー・室矢憲治)

 「イージー・ライダー」の公開50周年を記念して、デニス・ホッパーが監督・脚本・主演を務めたドキュメント映画「アメリカン・ドリーマー」が2月1日から、東京・渋谷のユーロスペースで「イージー・ライダー」とともに上映される。29日まで。問い合わせはユーロスペース(03・3461・0211)。