山田孝之「CM降板も覚悟」の男気 ピエール瀧を新作映画で起用

山田孝之「CM降板も覚悟」の男気 ピエール瀧を新作映画で起用

 コカインを使用したとして昨年6月に麻薬取締法違反の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた俳優でミュージシャンのピエール瀧(52)が、映画「ゾッキ」(来年公開)で復帰することが明らかになった。瀧は2月20日以降に撮影に入る予定で、昨年3月の逮捕から1年足らずでのスピード復帰となる。

 古本市場で働く風変わりな人々をシュールに描いた人気漫画「ゾッキ」の映画化にあたり、竹中直人(63)、斎藤工(38)、山田孝之(36)の3人が共同で監督を務める。この中で瀧の起用を強く推したのは、この作品が初監督となる山田だったという。2人は2013年公開の映画「凶悪」で共演。山田は主人公の雑誌記者を、瀧は数々の殺人事件の実行犯で獄中から真実を明かす死刑囚役を演じた。この作品の最大の見せ場は面会室での山田と瀧のアクリル板越しのやりとりだったが、山田は瀧の入念な役づくりを目の当たりにしてうなったという。

 以来、2人は瀧が経営するおでん屋で交流を重ね、演技論で大いに盛り上がったといわれる。

 そんな経緯もあり、山田は「確かに瀧さんは薬物で失敗したかもしれないが、本人も十分に反省している。復帰を少しでもサポートしてあげたい」とキャスティング段階から「ゾッキ」の製作陣を辛抱強く説得したそうだ。

 ただ、瀧の復帰が報じられてから、一般人からの抗議の声も上がっているようだ。〈謹慎期間が短すぎるのではないか〉〈執行猶予の身なのに映画に出てもいいものなのか〉といった非難の声がほとんどで、その矢面に立たされているのが、大企業のCMに出演している斎藤と山田の2人だという。

■「俺は間違ったことはしていない」

「もちろん、中には世論に敏感なクライアントもあります。瀧さんの復帰を後押しした山田さんは、一歩間違えれば、数千万円単位のCM契約を失う危険もあります」と、広告代理店関係者は明かす。しかし、山田の周辺を取材すると意外な反応が聞こえてきた。

「当然、山田さんの耳にも穏やかではない話が伝わっているはずですが、彼はちっとも動じていません。むしろ、出演中の缶コーヒー『ジョージア』のCMで見せる人情味のある“ガテン系”のキャラクターイメージを自らに重ね合わせ、『俺は間違ったことはしていない』と胸を張っているそうです。瀧さんに手を差し伸べたことは、ちっとも後悔していないようですね」(テレビ関係者)

 山田はNetflixのドラマ「全裸監督」でAV界の帝王・村西とおる氏の半生を描いたドラマを演じきった。この時も地上波のドラマやCMの仕事が減ることを案じた村西氏に対し、「僕は役者であって、CMタレントじゃありません」と言いきったという。今時珍しい、男気を感じさせる俳優といえるかもしれない。一回り以上年が離れた山田にチャンスを与えられた瀧は、一念発起して頑張るべきだし、当然のことながら薬物とキッパリ決別しなければならない。

(芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄)