SixTONES・松村北斗が目指す“金メダル”「誰かに元気や感動を与えたい。きれい事じゃなく本当に」

引用元:スポーツ報知
SixTONES・松村北斗が目指す“金メダル”「誰かに元気や感動を与えたい。きれい事じゃなく本当に」

 今年からリニューアルとなった金曜付の特集面「J」の第2弾は、1月22日にCDデビューした「SixTONES」の松村北斗(24)。同時デビューした「Snow Man」とのコラボシングル「Imitation Rain/D.D.」は2組合算でミリオンヒット。個人では、放送中のフジテレビ系ドラマ「10の秘密」(火曜・後9時)で物語の鍵を握る音大生を好演する。最高の船出を飾り、今後に「6人それぞれの種目で“金メダル”を取れるような人たちが集まったグループに」と力を込めた。(畑中 祐司)

 「SixTONES」の一員、また松村北斗としても、めまぐるしい日々を送る。昨年4月期以来の連ドラ出演も、自身を取り巻く環境は大きく変化した。

 「ドラマとCDのタイミングが重なる中で、このドラマで初めて僕を見る人もいると思うし、何となく『Six―』という名前を知って、このドラマが好きで、僕がその一員だって紐付く人もいると思う。1つでも状況が変われば、周りのバランスも変わってくる。今までも、もちろんあったけど、以前の覚悟では、もう足りない。比例して自分の覚悟も増していっているという状況です」

 ドラマでは、主人公のシングルファーザー(向井理)の娘(山田杏奈)が信頼を置く音大生・伊達翼を演じる。娘が誘拐されることで、様々な秘密が明らかになるミステリーで、物語の重要な鍵を握る役どころ。第3話では「素人だった」というピアノを荒々しく奏でる熱演を見せるなど、存在感が光る。

 「いい声ももちろん、『まだまだだね』という声ももちろん、どっちもある。でも、それは正直、自己評価と同じ。前より成長できたというとこもあるし、やっぱりここが甘いなとか。賛否両論どれもありがたく受け止めています。それでも、すごく“お芝居”として見ていただいている。元はアイドルグループの一員。なのに、こういう役者さんたちに囲まれて勉強させてもらって、役者として見てもらえている、見ていただいている方もたくさんいるという状況に、すごく喜びを感じます」

 演じる役柄は、現時点でまだ多くの謎に包まれた人物で、表現力も問われる。昨年4月期の同枠以来の連ドラは、前作「パーフェクトワールド」と同じプロデューサーのもとで撮影に臨む。前作で言われた言葉が心に残る。

 「簡単に『謎の人』って言葉で言えても、分からなくて言葉にできないから『謎』っていう言葉で片付けられるんだと思う。プロデューサーは『そんなこと言ったっけ?』って言っていたけど『ミステリアスな役は何となくやろうと思えば何となくできちゃう。物静かで、ちょっと分からない行動をすれば、それっぽく見えなくもない。だから、それをやっちゃいけない。だから難しい』と」

 前作では主人公の後輩を演じた。今作とは真逆の明るい役どころだった。

 「プロデューサーは『だからこそ、一回あっけらかんとパワーを放った演技を経験してほしかった』という言葉もいただきながらでした。今更ながら、そのときの言葉が返ってきて、なるほどこういうことかと」

 謎多き役柄同様、インタビューでも冷静さが印象的だ。09年にジャニーズの門をたたき、俳優経験は少なくない。俳優業への自負もにじませる。

 「今までももちろんだけど、より個人の活動がグループの第一印象になりかねないと強く思うようになりました。うちのメンバーは、みんな将来は『それぞれの種目で金メダルをとるような人たちが集まったグループに』と。その責任感がもちろんある中で、おこがましいんですけど、いち役者として1人で立っていないといけない気持ちはデビューしたことによって、より、より強くなりました」

 アイドルと俳優の“二刀流”は、ジャニーズ王道の活動スタイルでもある。その中で松村が目指すべきことは。

 「ドラマで僕のことを知った人が偶然、『Six―』のパフォーマンスを見たときに、驚くようにしないと。『あのドラマに出てたアイドルね、なるほどね』って合点がいくようじゃダメ。決してアイドルという顔を捨てて役者さんの世界に入っているつもりはないし、本職はアイドル。ただ、アイドルっていう顔の上に完全に役者っていうのを、そのときだけでも完全に貼り付いて見えていたい。剥がすとアイドルだった、と」

 かつて、今はHey!Say!JUMPとして活動する山田涼介、Sexy Zoneの中島健人らと「NYCboys」として活動。同グループでNHK紅白歌合戦に出場経験もある。だが、CDデビューまでは長い道のりでもあった。だからこその思いがある。

 「CDデビューを皮切りに『新たな人生、やっとスタート!』という気持ちは、実はそこまで強くない。もちろんCDデビューという1つ大きなチャンス、パワーをゲットしたという自覚はある。ものすごいことだと思うし、代々の先輩の伝統も偉業も見てきた。今まではCDデビューして初めて、やっと芸能界の正式なタレントとデビューできるみたいなイメージもあったけど、僕らは、どんな形でも『Six―』というグループでやっていくという覚悟は、デビューなしで決めていたので」

 そこには昨年7月になくなった前社長のジャニー喜多川さんの思いもある。

 「社長も再三、言っていたことは『CDを出すことでCDデビューになるけど、ユーたち、とっくにデビューしてるからね。何かのテレビに出た、どっかで撮影したってことは、もう活動したんだから、デビューしてるんだよ』って。時に、CDデビューにこだわりすぎる必要はないとおっしゃっていた。色んな子に仕事を与えてくれていたし、自覚の向上を促す意味もあったでしょうけど」

 実際、ジャニーズの中で最近は特に生田斗真ら俳優業で道を切り開くタレントも多い。CDにこだわらないスタンスを模索してきたという一方、最終的にCDデビューに対するこだわりも捨てることができなかったのも事実だ。

 「覚悟はできていたけど、ファンの方のことだけを考えてみると、やっぱり音楽を手元に残る形で欲しいというのは、すごく分かる。日本は、形に残るものをすごく重宝する文化は今だにある。僕自身も、好きなものは形として残したい。ファンの方のためにも、CDを出したいなと。そうじゃなきゃ期待を裏切ってしまいそうという思いもあった。あと、これだけ強気のスタンスでやっていて、CDから逃げるのも嫌だったし、そこで戦いたいという気持ちはありました」

 結果として「Snow Man」と2組合算でデビュー作として史上初の初週ミリオンを突破した。ファンの熱の大きさは数字だけでなく、肌でも実感する。

 「CDを買わなかったとしても『いいね、今の曲』って1回、口にした人だけでもいい。それも、すでに僕らに関係している。偶然、いいねって買ってくれた人でも、周りがそういうことを言って『やっぱり、いいんだ』って、その人の自信にもなって、それが僕らにも届いて、エネルギーに変わっている。じゃ俺らもっとやらなきゃ! やっていいんだ! って自信にもつながるので。みんなが僕らを引っ張ってくれていると思っています」

 今や音楽番組やバラエティーなど、メンバーを目にしない日はないほど。現在はドラマ撮影と並行して、全国ツアーも開催中だ。

 「前からそうだけど、働いてた方が元気。体調も崩さないし、ずっと気持ちも高いまま。ドラマの撮影をやって、次の日に地方でライブ。その次の日は連載の撮影で地方に行って、とか。趣味とかも、自然とそういうときの方が満喫できている。移動時間に本を読んだり、好きなアーティストのライブ映像を見たり。連載でエッセーも書いているけど、暇なときより忙しいときの方が筆が進んだりとか、ガーッといけちゃったりして、性に合っています」

 それぞれが“金メダリスト”を目指すスタイル中で、今の松村にとって、今その種目は俳優業だ。

 「やっぱり今はドラマ期間中というのも大きく作用しているけど、まず、お芝居で目指しながら生きていきたいなと。どこで何がどうなるか分からないし、だいたい予定通りにはいかないですけど。でも、今の理想でいうと、お芝居でもっと試行錯誤していたい」

 日々臨む撮影も、充実に満ちている。

 「面白い、楽しいの一点張り。そうですね。どぎついシーンを撮影しているときとか、そのシーンが終わった後、ワクワクしちゃって。気持ちよくって。今日も、そういうワーッて何ページものシーンがあったんです。カットがかかったときは、『終わったー』ってことじゃなく、終わってやっと、やっていたときの気持ちとか興奮を思い出して、その後もずっとドキドキしたりして」

 ライブでファンの熱狂を一身に浴びながら感じるものと、また違った感覚でもある。

 「本番前は、ちょっと長いセリフとか『あ~』ってなるけど、スイッチが入るんですよ。気付くと。どうやって言えたっけ? って。すごく感情が乗ったときって覚えてないですけど、言えてるんですよね。そういう感覚のときって、周りにも『良かったよ』って言ってもらえたり。俺、今こんなお芝居してたんだと。今の限界、現状を知れる。そういう体験が好みなのかなというのと、やっぱり楽しいなと」

 自身は俳優業を追求。グループとしても最高の船出から今後、可能性が無限に広がる。その中で、6人が固く決めているのは「目標を決めないこと」だという。

 「そこは、自分たちのこだわり。先の可能性を潰したり、自分を縛り付けたくない。別に行ってみて、その先が違ったらまた戻って、違う方向に行けばいいと思う。右折したら遠くなる道だったとしても、今が右折なんだったら、とりあえず右折でいいと思う。とにかく目の前のこと、足元、手元にあるものをきちんと受け止めてやっていたい」

 そして、グループが目指す“金メダル”の形とは。

 「ずっと誰かに応援していててもらいたい。誰かに元気とか勇気とか感動を与えたい。きれい事じゃなく本当に思う。使い古された言葉で、バカみたいだなと思われたとしても、本当に思う。ランキングで1位を取れたら、それも一応は金メダルだし、その瞬間は輝いていられているんだと思う。それだけじゃなく、その先にずっと手を伸ばしていられるようなグループでいたい。その瞬間が続けば、ずっと輝いていられると思うので」

 ◆松村 北斗(まつむら・ほくと)1995年6月18日、静岡県出身。24歳。2009年にジャニーズ事務所入所。同年に5人組「中山優馬w/B.I.Shadow」から7人組「NYC boys」となり、NHK紅白歌合戦に出場。12年にドラマ「Piece」(日テレ)、映画「私立バカレア高校」に出演。15年5月1日に結成された「SixTONES」に加入。グループは19年に計20万人近く動員した2つの単独ツアーを開催し、20年1月22日にCDデビュー。血液型B。 報知新聞社