広瀬アリス「トップナイフ」のコメディエンヌぶりが逆効果

広瀬アリス「トップナイフ」のコメディエンヌぶりが逆効果

 1月スタートの冬の連ドラも中盤戦に突入。

 これまでのところ、視聴率トップは、天海祐希(52)主演の医療ドラマ「トップナイフ─天才外科医の条件─」(日本テレビ=土曜夜10時)で、それを竹内涼真(26)主演のタイムパラドックスミステリー「テセウスの船」(TBS=日曜夜9時)が追っている。

「このワン・ツーは下馬評通りの展開ですが、ネット上の声を拾ってみると、首位を走る『トップナイフ』の評判が視聴率の割にあまり良くない。特に研修医役の広瀬アリス(25)に対して、〈お笑い担当なのは分かるが、やりすぎ〉〈彼女のシーンで興ざめする〉などと、辛辣な意見が目立ちます」(テレビ誌記者)

 広瀬アリスといえば、2017年下半期のNHK朝ドラ「わろてんか」あたりから、コメディエンヌとしての才能も評価されてきた。テレビコラムニストの亀井徳明氏は「別に広瀬アリスが悪いわけではないのですが……」と、こう続ける。

「天海の格好良さと、時折見せる崩したところが好きで見ている視聴者には、“美人コメディエンヌ全開”のキャラが邪魔に映るのかもしれません。広瀬アリスの登場場面に限らず、作り手側の『こういう外した感じも好きでしょ?』なんて意図が、視聴者に敏感に感じ取られてしまっているように思います」

 確かに「トップナイフ」は、病院を舞台にしたヒューマンドラマの部分あり、天才たちの苦悩あり、緊迫した手術の場面あり、メーンキャストの行きつけのバーの場面あり……極めつきはエンディングで、全員総出でのポップなダンス。意表を突いたキャスティングとして“裸芸”の「アキラ100%」が救命医役でレギュラー出演と、あれやこれやとてんこ盛りだ。

「どれもかつてヒットしたドラマの要素ですが、そのつなぎ方やバランスが、純粋に医療ドラマを期待していた視聴者に戸惑いを与えているのではないでしょうか。“視聴率狙い”のはずが、伝えたいことがうまく絞り切れず、とっ散らかる方向にある感じ。もっと違う作り方もあったはずです。ただ、番宣が深夜に多いのをみると、日テレ側としては、今の視聴率を支えるシルバー層以外を何とかして取り込もうとしているのが分かります」(前出の亀井徳明氏)

 広瀬アリスを起用したのも、幅広い層を取り込むためだろうが、使い方を誤って、逆に乗りに乗っている彼女の勢いにブレーキがかからないか、心配になる。

 それでも目下の視聴率首位をキープ。それこそ「天海祐希×医療ドラマ」という骨格自体が、視聴率の“基礎票”である、視聴習慣に“忠実”なシルバー世代をつかんでいる証なのかもしれない。