恋人を救うためザクのパイロットが命がけで架けた橋…「量産機には、その数だけ“物語”が生まれる」

引用元:オリコン
恋人を救うためザクのパイロットが命がけで架けた橋…「量産機には、その数だけ“物語”が生まれる」

 40年余の歴史を持つ『機動戦士ガンダム』の長い歴史において、今なおトップクラスの人気を誇るジオン軍の量産型MSザク。多くのモデラーたちが、この機体をキャンバスとし、自身の妄想ストーリーを具現化している。今回紹介するのは、『月刊ホビージャパン』のガンプラコンテスト・第16回「全日本オラザク選手権」ジオラマ部門で銀賞を受賞したピコ氏。“ヤラレ役”である量産型MSザクに魅せられた、その理由とは?

【写真】「オリビアの橋」の情景を全方位からチェック!どの角度にも“物語”がある

■説明が無くても“物語”の背景を感じてもらえる作品を目指した

――ガンプラにハマった原体験は?

【ピコ】ハマったキッカケはザクです。それまで何度も目にしているはずのザクのカッコ良さに、ある日突然気付きました。それから急ぎ最寄りのプラモデル屋さんに行き、HGのザクを購入。値段の安価さ、組みやすさ、可動ギミックの豊富さに衝撃を受けた記憶があります。それからFG、RG、MG ver.1、ver.2 、旧キット各スケールと一通り流通しているザクを買い漁りました。

――ザクの魅力についてもう少し教えてください。

【ピコ】ザクに魅力を感じる部分としては、見た目の良さも勿論なのですが、量産機であることが挙げられます。数がたくさんあるという事は、それだけパイロットがいて、それぞれに様々なバックボーンがあるんだろうな、という妄想が掻き立てられるからです。具体的に言うと、脱走兵の話を主題とした『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」がその好例だと思います。

――ピコさんの作品からも、ザクの背景にあるストーリーを妄想してしまいます。

【ピコ】この作品のテーマは「橋と人々」です。いかにしてその橋が架かったのか、自身が設定したストーリーを説明しなくても、何となく背景を感じてもらえるような作品を目指しました。

――タイトルがあれば教えてください。

【ピコ】タイトルは「オリビアの橋」としました。この橋がほぼ当時(1年戦争)のままの姿で現存する理由は、橋としての堅牢な強度もさることながら、人々の(パイロットへの)敬意によるところが大きい。橋の名は、かつてこのザクを操縦していた男の恋人の名前に由来する、という設定です。

――確かに、このタイトルと設定を聞いただけで、どのような経緯で「オリビアの橋」が架かったのか妄想してしまいますね。