町山智浩、人は戦争を繰り返す…第1次世界大戦ドキュメンタリーをディープに解説

町山智浩、人は戦争を繰り返す…第1次世界大戦ドキュメンタリーをディープに解説

 5日、映画評論家の町山智浩が、渋谷のシアター・イメージフォーラムで行われた映画『彼らは生きていた』大ヒット公開記念トークイベントに出席し、本作で映し出される、戦争がもたらした影響について語った。

【動画】『彼らは生きていた』予告編

 本作は、第1次世界大戦終結から100年経った2018年、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどのピーター・ジャクソン監督のもと、400人以上のアーティストが、イギリスの帝国戦争博物館に保存されている西部戦線で撮影された2,200時間以上にも及ぶ記録映像を修復、着色、3D化して再構築したドキュメンタリー。日本でも1月25日に公開され、12回連続で満席を記録。大きな反響を呼び、上映を希望する劇場が後を絶たないという。 「この映画で一番感動したのは、“マークIV戦車”が5台並んで進むところをカラーで見ることができたこと」と挙げた町山は「劇中に登場する戦車には砲塔がない。戦車同士が戦うのではなく、塹壕を越えるためだけにある戦車なんです」と説明する。町山は実際、当時の戦車をイギリスまで見に行ったこともあり「エンジンと乗務員の部屋が隔離されてない。臭くて煙くて暑くて、とても乗っていられるようなものではなかったらしいです」と苦笑しながら、「戦車が動いている映像がすごい。(アカデミー賞で有力視されている)『1917 命をかけた伝令』は戦争映画ですが戦車が動いていないんです。少しがっかりしました」と会場を笑わせていた。 無数の死者が出たことでも知られる第1次世界大戦。町山は、発明家アルフレッド・ノーベルの名前を挙げると「戦争で死者が格段に増えたのは、1880年代にノーベルが無煙火薬を発明したから」と説明。従来の黒色火薬は、ものすごい炎と煙で、1発ごとに周囲が曇ってしまうため連射ができなかったが、無煙火薬の発明で速射が可能になり、機関銃が開発され、世界の戦場が変わったという。本作でも無煙火薬によって可能になった砲弾幕の恐怖がしっかりと描かれている。

1/2ページ