90年代のインドネシアで僕は少女と「星の姫の物語」を作った──美しいドット絵で異国情緒あふれる不思議世界が描かれる『A Space For The Unbound』プロローグ版が配信中

90年代のインドネシアで僕は少女と「星の姫の物語」を作った──美しいドット絵で異国情緒あふれる不思議世界が描かれる『A Space For The Unbound』プロローグ版が配信中

 美しいピクセルアートのゲームを多数開発するMojiken Studioは、90年代インドネシアを舞台にしたアドベンチャーゲーム『A Space For The Unbound』のプロローグ版をSteamで公開している。

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 本編のリリース時期や価格は未定。プロローグ版は15分から20分ほどゲームを遊ぶことができる。構想は2015年頃から練られており、Steamで公開されたプロローグ版の前にもうひとつのプロローグ版がitch.ioで公開されている。

 『A Space For The Unbound』のプロローグ版の主役は、インドネシアに住む「アトマ」と呼ばれる高校生だ。彼は「ニルマラ」という少女と一緒に、南の星のお姫様が主人公の物語を作っている。

 物語はお姫様が友人である猫に一輪の花を残して姫が息を引き取る悲しいシーンで終わるが、ニルマラによれば、このあと猫が最後の冒険に旅立つエピローグがあるという。プロローグ版はこの話を完成させるため、必要なアイテムを集めることが目的だ。

 ゲームのシステムは、画面上のさまざまなものをクリックして進めるオーソドックスなポイント&クリック型のアドベンチャーだ。マップを歩き回りさまざまな人と会話し、集めたアイテムを必要な場所で使用して先に進む。

 その中でも重要なアイテムとして、「人の心の中に入り込むことができる赤い本」が登場し、それを利用して他の人の悩みや問題を解決することになる。最初に解決するのはニルマラ自身の悩みだ。物語の続きが思い出せなくなったという彼女の心に入り、そこに巣くうたくさんの悪意から救い出す。

 子供だけの秘密の隠れ家や、もはや機能しなくなった家族、赤い本や流星のような超自然的な力、世界の終わりといったテーマで、少年少女が大人へと成長する時期の不安とその克服を描写する。パブリッシャーのToge Productionsのクリス・アントーニ氏のツイートによると、本作は新海誠監督作品からも強い影響を受けているという。

 プロローグは続きを渇望させるような結末で終了し、最後にもうひとりの主人公である「ラヤ」が登場する。彼女は2015年にitch.ioで公開されたもうひとつのプロローグ版に登場したキャラクターで、彼女も不思議な力と秘密を持っているようだ。

 90年代のインドネシアを美しいピクセルアートで描く『A Space For The Unbound』。残念ながら現時点で日本語には対応していないが、不思議な力と本を中心にした少年少女の成長の物語が好きだという方には、英語の壁を乗り越えてプレイしてみる価値ある1本だといえる。まずはプロローグ版をプレイしてみて、気に入ったらSteamのウィッシュリストに加えてゲームの発売を待ってほしい。

ライター/古嶋 誉幸 電ファミニコゲーマー: