笑って泣いて感動! クイーンのコンサートはこれだよね 高嶋政宏・こだわりの極意

引用元:夕刊フジ

 【こだわりの極意】

 いや~、クイーンを観た~。さいたまスーパーアリーナに着いて愕然とした。もはやロックのコンサートではない。完全に観光名所だ。よく考えたら、映画「ボヘミアン・ラプソディ」で改めて大ブレーク。人が来ないはずがない。

 近くのコンビニがまたパニック。アリーナの中で飯が食えないとなるとコンビニで腹を満たすしかない。自動ドアを入ると、すでに会計に並ぶ人で大行列。イートインスペースでは買ったおにぎりやサンドイッチをむさぼるお客さんたち。あと何分?! あと何分よ?! と目が血走っている。

 グッズ売り場もKISSほどではないにしても当然、大行列。みな映画の感動をまずはグッズで満たそうと必死だ。

 今回、僕はアリーナだったんで階段を降りていくと、みんな席が分からないらしく、「私、Aの10なんですけど」。「僕、係の人じゃないんでわかりません…」と答えるとフンッとばかりににらまれて「もういい!」と捨てゼリフの女子。

 おまけに僕が通路側の席に座ろうとすると、いきなり「そこ、私の友達の席なんですけど」と眼鏡おばちゃんがチェック。横の同じく眼鏡おばちゃんが「違う違う、私の隣の真ん中寄りの席」と訂正するも、最初の眼鏡おばちゃんはすみませんの一言もなく、もはや僕はいなかったことに!

 もう開演間近のパニックったらない。思わず、まだ1ベル鳴ってないから大丈夫ですよ。1ベルなってから開演は5分後ですからと言いたかった。僕の後ろの席では、別の眼鏡おばちゃんが「良かった~!! 間に合った~!!」と涙ぐんでいる。みなさん、そんなパニックなりますか。

 そうこうするうちにショウが始まった。ぎゃ~となったものの始まったらみんなスマホで写メだ! 動画だ! 生を観に来たのに、みんなスマホの画面を観てる。スマホ持ってるから思いっきり拍手もできない。これが今の日本人だ。

 ショウはとにかくプロジェクションマッピングが素晴らしい。えらいカネがかかってんな~のステージだった。

 それにしても、今までさまざまな素晴らしいシンガーがフレディ・マーキュリーの代わりに入ったが、アダム・ランバートこそ真の後継者だ。おそらくフレディのキーは楽々出るんだろう。

 常に舌はリラックス、張り上げてるようで首には一切力が入ってない。低音はフレディのほうがすごかったけど、ハイトーンは一体どこまで出るんだろうという神に選ばれし声帯の持ち主。何よりもオネェ芸が最高だ!

 あれがなきゃ、フレディの後継者ではない。クイーンのコンサートは笑えるんだ! 笑って泣いて、とてつもない感動を最後、胸に抱いて帰る。これがクイーンのコンサートなんだ。途中のアダムのタイガースカラーの衣装。ブライアン・メイのコーナーでは「いらっしゃいませ~!」の日本語サービス。ロジャー・テイラーのソロの歌は「あれ? ロッド・スチュワート?」という渋さ。メドレーの変わり目にキレがなかったり、途中ズルズルなとこもあったけど、今回も泣けて笑える最高のエンターテインメントをありがとう!!

 ■高嶋政宏(たかしま・まさひろ) 1965年10月29日生まれ。東京都出身。87年、映画「トットチャンネル」で俳優デビュー。映画「AI崩壊」が公開中。また、CS旅チャンネルで「高嶋政宏の旅番長“激動!ベトナム縦断編”」が放送中。