芳野友美 モノマネする人をまねるのは恥ずかしすぎる!

引用元:夕刊フジ

 【芳野友美 再現いろはにほへと】

 再現ドラマはほとんどの場合、実在する方を演じるものです。特に有名人の役となると、視聴者の皆様もその方の雰囲気くらいは知っているわけですから、あまりにもかけ離れていたり、自我のようなものが出過ぎて、見ている方が「全然内容に入り込めない」など、自分が邪魔をしてしまわないよう多少は気をつけているつもりです。

 最初の頃は自分が演じる方の動画を事前に見て、クセとか話し方とか雰囲気を掴む作業をやっていたのですが、練習期間もないし、瞬時にまねられるほど私は器用ではないので、考え方を変えました。

 だから私は基本的にはフラットな状態で演じています。台本にある言葉遣いや、ヘアメークで何となくご本人の特徴は出るものだから、演技の部分ではその方を演じているという認識を忘れないという程度で、頑張ってまねごとをして寄せようという気持ちはあまり持っていません。

 ただ、例外として研究、猛練習した方がいます。清水ミチコさんと、みかんさん。そう、お二方ともモノマネをされる方ですねー!

 清水ミチコさんが桃井かおりさんのモノマネをやっているところを芳野友美が演じる。みかんさんが浜崎あゆみさんのモノマネをやっているところを芳野友美が演じる。

 …もうわけがわかりません(笑)。というか、できるわけがありません。

 でもそこは再現ドラマ!ディレクターさんはもちろんモノマネを要求します。考えとしてはこうです。

 「とりあえずやらせてみて、上手くいけば使う。ダメだったら音消しでナレーションを被せる」

 ハナからナレーションベース(ナレーションを被せる部分の映像、通称「ナレベ」)にしてくれればいいものを!

 そもそも私はモノマネの才能が皆無。その上、猛練習をすると言っても、役が決まって本番までは1日~2日程度。先は見えています。でも、ここで負けず嫌いが顔を出し、奇跡を信じたくなってしまうんですよねー。

 ひたすら動画を見て反復練習!厄介なのは台詞通りの動画が無いから、ご本人ならどうまねるかというお手本がないこと。再現ドラマになるような「実は」なプライベート内容だから当たり前なんですが…。

 そして静かに周りが見守る中、一発ギャグのように思いっきり出来損ないのモノマネをやってのけるのです! 最低限、声がダメでも映像は使えるものにしないといけないので、それはもう自信たっぷりに。正直メチャメチャ恥ずかしい!笑ってもらえればまだマシなのに、本番中だから当たり前に誰も笑わないし、笑いを堪えてるような雰囲気すらなく、これがまた追い打ちで恥ずかしい!

 言うまでもなく、両役とも見事にナレーションが被せてありました。

 ■芳野友美(よしの・ゆみ)

 1980年7月2日生まれ、福岡県飯塚市出身。再現ドラマに多数出演する女優。その他、ドラマやCM、バラエティーでも活躍中。ハナマルキ「液体塩こうじ」CMに出演中、また田苑酒造イメージキャラクターを務める。