1月29日に心不全のため76歳で死去した歌手、梓みちよさん。「こんにちは赤ちゃん」「二人でお酒を」などの昭和の歌謡史を彩るヒット曲で知られる名歌手がひっそりとこの世を去った。
【写真】レコ大を受賞し「こんにちは赤ちゃん」を歌唱する梓みちよさん
梓さんといえば、あぐらをかいて歌った「二人でお酒を」からイメージされるような、さばさばして豪快な“姉御肌”の人柄で知られる。
1980年代に制作ディレクターとして、一緒に仕事をした徳間ジャパン元社長の篠木雅博氏はかつて本紙の連載で思い出をつづっていた。
《顔合わせということで梓宅に呼ばれ、マージャンをすることになった。始まる前には、梓の手料理をごちそうにもなった。すべておいしかった。最後はうどんでしめたような記憶がある》
優しさを感じさせる一方、マージャンになると別の一面も。
《牌のきり方は男っぽく威勢がいいから気持ちいい。夜も遅くなると「はい、私休むから」とあっさりとした退(ひ)き際もカッコいい。負けが込んでなかなか帰ろうとしないのは僕だけだった》
酒の飲み方も粋で《新宿や神楽坂の行きつけの店にお供した。酒が入ると陽気で明るく、僕はすっかり溶け込んでしまった》とも。
梓さんは71年に俳優、和田浩治さん(86年に死去)と結婚するも、72年には離婚。子供もおらず、その後は独身を貫いた。しかし80年代には、ある大物野球選手との関係が取り沙汰されたことも。本人も相手も認めることはなく、あくまでも噂の域を出なかった。
そんな時代に芸能記者として取材していた、芸能文化評論家の肥留間正明氏は「不思議なことに芸能リポーターに追い回されていたわけでもなかった。それだけ事務所のガードも堅く、証拠もでなかった。イメージを守り通した。ただこの噂があったから、独り身なのに艶っぽかった。日本の芸能史に欠くことのできない存在でした」と話す。
86年に出演した「さんまのまんま」で明石家さんまの頭にシャンパンをかけたエピソードも、さんまがこの噂に触れたからとささやかれている。
1月29日、連絡が取れないことを心配したマネジャーが自宅マンションを訪れたところ、すでに亡くなっていた。
追悼、梓みちよさん 酒、男、ギャンブル…豪快“姉御”伝説 大物野球選手と噂もガード徹底
引用元:夕刊フジ