民放キー局、NHKに続きネット同時配信へ テレビ離れに対応

 民放キー局5局が今秋以降、テレビ番組を放送と同時にインターネットに流す同時配信を始める方向で準備していることが1日、分かった。

 テレビ離れが進む若年層を中心に、スマートフォンなどで広く番組を見てもらうのが狙い。民放各局は採算が合わないと慎重だったが、3月1日から同時配信を試験的に実施し、4月1日午前6時から1日18時間程度の本格運用を始めるNHKに追随。放送と通信の融合が本格化する。

 番組の見逃し配信サイト「TVer(ティーバー)」などで視聴できるようにしたい考えで、各局の関係者によると、同時配信は需要がある時間帯に限定。日本テレビは10月からゴールデンタイム(午後7~10時)やプライムタイム(同7~11時)で検討している。

 テレビ朝日やTBS、フジテレビなども準備を進めており、若い世代の視聴者が多いとされる深夜帯のドラマやバラエティー番組の配信の可能性を探っている局もある。

 各局は今夏の東京五輪・パラリンピック中継は同時配信する見通し。あるキー局社員は「五輪で視聴者に認知してもらい、その流れでレギュラー番組の同時配信を利用してもらえると理想的」とし、各局の開始時期がそろう可能性もある。

 同時配信の視聴可能地域は各局とも制限しない方針。関東限定で放送している番組もネット上では全国で見られるようになるため、系列局の反発が予想され、今後、本格的な調整が必要となる。

 ネット上ではCMをカットし、視聴者の属性に合わせたターゲット広告を導入。一部の番組は出演者らの許諾が得られず配信できない場合は、該当する映像を隠す「蓋かぶせ」で対応する。