漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。
迷子さんが愛してやまない、猫の後ろ姿。もし猫が進化して、人間のように二足歩行を始めたら、「猫背」に悩むのでしょうか。
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猫の後ろ姿が好きだ。
思わず近寄っていきたくなるフォルムをしている。何とも言えない訴求力がある。舞台を夕日の土手に移したうえで、隣に座ってたそがれる権利がほしい。
うつむいて一心に床の何かを見つめている時などたまらない。
しょんぼりと落ち込んでいるようにも見えるため、すぐにどうしたどうしたと近寄っていってしまう。
一度それで、玄関に入り込んでいるカエルをみつけたことがある。猫もどうしたらいいのか分からなかったらしく、爪を出さずに遠慮がちに前脚でちょいちょいしていた。かわいい。カエルも好きだが逃がした。家には入らないで欲しい。
しかし「猫背」といえば、人のそれは一般的には好まれない。
万病の元になるほど健康に良くないとうわさされているし、何より姿勢が悪いと言われてしまう。
ところでもし二本足になる方向に猫が進化を始めたら、やはりみんな猫背なのだろうか。健康に問題があるのだろうか。うちの猫が立って歩きはじめたら、姿勢が悪いよと言わなければいけないのだろうか。考えていたら悲しくなってきた。
大好きな後ろ姿が見られなくなるのはつらい。そんな注意をしなければいけないのはつらい。
猫にはぜひ、人間が滅びた後に進化を始めてほしい。 迷子
たまらない、猫の後ろ姿 もし進化して「二足歩行」を始めたら…?
引用元:マグミクス