アニメ監督・渡辺信一郎「夢が叶った」『キャロル&チューズデイ』成功を振り返る

引用元:J-WAVE NEWS
アニメ監督・渡辺信一郎「夢が叶った」『キャロル&チューズデイ』成功を振り返る

J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MORNING INSIGHT」。1月20日(月)のオンエアでは、アニメ演出家・監督の渡辺信一郎さんが登場。サンライズ入社後、映画『マクロスプラス』で監督デビュー。以後、『カウボーイビバップ』や『サムライ・チャンプルー』、『坂道のアポロン』など、数多くのヒット作を生み出している。

この度、アニメ界のアカデミー賞ともいわれる「アニー賞」の絵コンテ部門に、渡辺監督が総監督を務めたアニメ『キャロル&チューズデイ』がノミネートされたということで、今作の魅力に迫った。

音楽が重要な柱になった作品

別所:音楽プロデューサーとしても多くの作品に関わられてきた監督ですが、今作で使われた音楽の中で、特にこだわられた部分はどんなところでしょうか?
渡辺:自分はいまアニメの監督をやっていますけど、若い頃から音楽好きと言いますか、音楽マニアと言いますか(笑)。音楽が生活の中心だったので、このアニメのオファーが来たときに、とうとう来たかと思いましたね。いずれやらなければいけないと思っていたんですけれど。
別所:ご自身がこだわりのある音楽の世界だからこそ、余計にですよね。

また、登場キャラクターの使う楽器は、実在するメーカーやモデルであるなど、作品の中にはリアルな音楽とのハブがいくつか存在する。渡辺監督のこだわりを訊いた。

渡辺:このアニメは近未来の火星が舞台なんですけれど、だからといってSF的な世界観というわけではなくて、いまより少しだけ先の話を描きました。大半の音楽はAIによって作られているという世界です。音楽は衣食住と違って、無くなっても死んでしまうというものではないのに、人間はどうして音楽を必要としてしまうんだろうということを、この世界観によって浮き上がらせられればと思いました。
別所:しかもそこに実在の楽器を使うことで、名前を耳にしたとき、あるいは音を聴いたときにとても親近感を感じられますよね。
渡辺:そうなんです。架空の世界を舞台にすると、そこでキャラクターが生きているという現実感が薄らいでしまうんです。なので、現実的にあるものを出すことで、自分たちが生きているところと同じ世界なんだと、現実感が出てくるということなんです。

アニメ全24話の各タイトルは全て、名曲と呼ばれる楽曲タイトルから取られている。アニメファンのみならず音楽ファンも納得させる演出を、監督自ら語った。

渡辺:「最近の若い人は洋楽を聴かない」って言われているように、英語詞の曲へ抵抗があるようなんです。僕たちも英語がペラペラ話せるわけじゃないけれど、そんなことは関係なく洋楽に親しんで育ってきたので、それらを聴いてほしいなと思いますし、きっかけになれればいいなとも思います。