平山笑美のファーストアルバム、「PIRAMIRiSE」発売中! 「私からもう1回とお願いしてレコーディングを続けていただくことも多かったです。」【インタビュー前編】

平山笑美のファーストアルバム、「PIRAMIRiSE」発売中! 「私からもう1回とお願いしてレコーディングを続けていただくことも多かったです。」【インタビュー前編】

 声優・平山笑美のファーストアルバム「PIRAMIRiSE」が発売中。今回のアルバムに込められている思いを平山笑美へ直撃インタビューした記事が、アニメディア2020年1月号に掲載されている。「超!アニメディア」では、本誌に入らなかった部分を含めたロング版を紹介。今回は前編をお届けする。

●あっという間に決まっていたオリジナル曲制作

――今回リリースされたアルバムは、もともとはクラウドファンディングで制作されたものですね。

 最初は、私がフリーになったタイミングで、自分のやりたかったことがいろいろできるなと思って「ライブをやりたい」とアニメ業界のお友達と話していたんです。そうしたら、いろいろな方が手伝うよと名乗り出てくださって。気がついたら「ライブをやるならオリジナル曲を作ろう」という話になり、あっという間にクラウドファンディングにたどり着いていました。

――クラウドファンディングに対しては、どんなイメージを持っていましたか?

 パフォーマー側からすると、ご支援いただけなかった場合にそういう“しるし”がついてしまうので、リスクはあるなと思っていました。でも、オリジナル曲を作れるというのはうれしいことでしたし、スタッフの方からも「応援してくださる方は、オリジナル曲も聴きたいはず」と半ば説得される形で、「じゃあやってみよう」となったんです。

――ちなみに、平山さんが歌を職業にしたいと考えられたのはいつぐらいでしたか?

 実は、あまり考えたことがなくて。きっかけは出演させていただいている『アイドルマスター ミリオンライブ!』という作品なんですが、キャラクターとして歌わせていただける機会がとても多かったんですね。それを聴いてくださった方が、もっと私の歌を聴きたいと言ってくださり、業界のなかにも、オファーをしてくださる方も増えてきて。評価をいただいているのであれば、真剣に頑張ってみようかなと思うようになりました。

――過去にボイストレーニングなどを受けたことは?

 専門学校に通っていたときにトレーニング的なことがあったくらいですね。子どもの頃にピアノを習っていたことはありましたが、歌は習ったことはありませんでした。

――そう(歌を習ったことがない)とは思えないような、伸びやかで美しい歌声ですよね。そんな平山さんは、今回のオリジナル曲でどんなジャンルを歌いたいと思っていましたか?

 これまで歌わせていただいたキャラクターソングは、かわいかったりきれいだったりするものが多かったんですね。今回はせっかくなので、私の声質をさらに楽しんでいただけるような曲がいいかなと思って、かっこいい曲やリズムの多い曲を歌いたいなという気持ちはありました。

――豪華な作家陣も注目ですね。

 私もこれまでの活動のなかで、多くの作家さんと出会ってきたので、その方々にお願いをしてみようかなと思っていたんです。でも、プロデューサーの方がお知り合いの方やお仕事をしてきた方に声をかけられるかもしれないとおっしゃってくださって、そこはお任せしました。曲調も、洋楽やミュージカルが好きなことは最初にお伝えしたんですが、もっとバランスよく、私の魅力がどうしたら出るかを考えて、曲を集めてくださいました。

――さまざまな制作陣のなかで、声優の小岩井ことりさんが「Dead or ふたりきり♪」で参加されているのが目を引きますね。

 松井俊介さんの曲が渋谷系のかわいいものだったので、これにかわいい歌詞を乗せると私のイメージと違うかなと思ったんです。それで、ことりちゃんには「毒かわいい」をテーマに詞を書いてほしいとお願いしました。実際に上がってきたら、すごく独特で。レコーディングしたものも聴いてもらったんですが、すごく喜んでくれました。

――歌い方は、かなりかわいい方向性に寄っていますよね。

 そうですね。これは世界観がしっかり決まっていたのと、松井さんのご希望もあって、かわいく歌ってみました。

――収録されている楽曲のなかで、これまで歌ってこなかったなという曲は?

 「真夏のエモーション」や「サインポスト」、それから「Secrets make shapes of the life」は自分で積極的に聴くタイプの曲ではなかったので、歌ってみてとても新鮮に感じました。

――オリジナル曲をレコーディングしてみての感想は?

 今回アルバムを作ってみて、私は曲に声を合わせにいくタイプなのかなと感じました。「JUMP!」や「約束の空」などは自分の気持ちや人生観とリンクさせながら歌いましたが、「真夏のエモーション」や「サインポスト」は物語の主人公が別にいると感じたので、その主人公に寄せた歌い方をする。できあがって聴いてみて、曲の世界観に寄り添いながら歌えるところや低くもなく高くもない、ふわりとした歌声で。もしかしたら皆さんが気に入ってくださっているのかなと、客観的に捉えることができました。

 ただ、今回のレコーディングは、OKかどうかを決める役割を私に任せていただいていたこともあり、どこまでいけばOKと言っていいのかがわからなくなることはありました。キャラクターソングは、作品やキャラクターの視点をスタッフの皆さんとすりあわせていけばOKになるんですが、今回は作家さんがお任せしますと言ってくださったこともあって、無限に突き詰めていけちゃうんですね。なので、私からもう1回とお願いしてレコーディングを続けていただくことも多かったです。

――レコーディングで特に印象に残っていることは?

 「JUMP!」という曲は、クラウドファンディングでご支援くださった方々がコーラスを入れる曲だったんですが、実際に私の声と重ねて聴かせていただいたら、すごくエネルギーを感じて。私は残念ながらレコーディングの現場には立ち会えなかったのですが、すごく楽しく歌ってくださったのが音からも感じられて、やってよかったなと、とても思い出に残った曲です。

後編に続く

PROFILE
【ひらやま・えみ】9月24日生まれ。東京都出身。フリー。これまで声優として、ゲーム『アイドルマスター ミリオンライブ!』シリーズ 北上麗花役、劇場アニメ『ダヤンとジタン』ジタン役などを担当。本CDが個人名義としては初のアルバムとなる。

リリース情報
「PIRAMIRiSE」
SuperSweepより発売中
価格:3,455円(税別)

 声優・アーティストとして活動中の平山笑美のファーストアルバム。もともとはクラウドファンディングで制作されたが、終了後、多数のファンの声に応え、一般発売が決定。声優の小岩井ことりが作詞を担当した「Dead or ふたりきり♪」や、いとうかなこが作詞を手がけた「JUMP!」など、平山の多様な歌声を楽しめる全12曲収録。

野下奈生(アイプランニング)