アニメ『空挺ドラゴンズ』の吉平監督語る、「“ドラゴンの定義” 徹底議論した」

引用元:マグミクス
アニメ『空挺ドラゴンズ』の吉平監督語る、「“ドラゴンの定義” 徹底議論した」

 アニメ『空挺ドラゴンズ』が2020年1月8日(水)からフジテレビで放送を開始、Netflixでも1月9日(木)から全話配信が始まっています。同作品の世界観で大きな特徴となるのは、地上の人びとにとって脅威・災害であると同時に、薬や油、そして食用にと、“宝の山”でもある龍<ドラゴン>の存在です。

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 捕龍船を操り、空を駆けて龍を狩り、旅をする「龍(おろち)捕り」の一艇、“クィン・ザザ号”とそのクルーたちの物語を映像化した同作で監督を務めた吉平“Tady“直弘氏に、原作者・桑原太矩さんの要望やこだわり、アニメ化に際して大切にした部分などについて語ってもらいました。

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ーーアニメ化に際して、原作者の桑原太矩先生から要望はありましたか?

吉平“Tady“直弘監督(以下敬称略) これは僕らの制作スタイルでもあるのですが、アニメ版だからといって自由気ままな改変をするわけではなく、まず原作者の桑原さんの思いや考え、コンセプトを引き出して、その後は一緒に議論を重ねながらアニメを作っていきました。脚本会議にも出ていただいて、お互いにアイディアを出し合い、作品を練り上げていくような形で製作していきました。

 マンガのコマ割りだけでは表現できなかった部分や、さまざまな設定の理由など、かなり細部まで深く掘り下げて話していたと思います。

ーー桑原先生のこだわりを感じたシーンはありましたか。

吉平 現実世界の「捕鯨」に似た描写が作中にありますが、桑原先生からは、「生きているものを殺して、それを食べて自分の命の糧として人生にしていくのが重要なテーマだ」というお話を聞きました。アニメだからといって解体の描写や血の描写に対して安易に引き算を行わず、むしろ深淵に潜っていこうという思いで作品作りに取りかかりました。本作では、原作と同じようにカジュアルなパッケージのなかに命に関する深いメッセージ性も込めています。

ーー作品世界の空気感を作るために重視したことは何でしょうか?

吉平 SFでもそうですが、架空の世界を描くことは難しいといつも感じています。いくらでも嘘をついていい都合の良い世界観は、現実感や感情移入する手だてを失ってしまいがちです。本作の第1話では、龍が当たり前にいる世界の自然文化をはじめ、道具の数々や市民の感情など龍を取り巻く環境についても描いています。龍が存在する文化やその歴史までしっかりと描いていかなければ、リアリティーのあるファンタジーが成立しません。