吉本が若手芸人育成のため「神保町よしもと漫才劇場」開館

引用元:TOKYO HEADLINE WEB
吉本が若手芸人育成のため「神保町よしもと漫才劇場」開館

 吉本興業が新喜劇とはまた違う芸人、俳優による芝居を上演するために2007年に開館し、昨年12月に閉館した「神保町花月」が1月29日、「神保町よしもと漫才劇場」として生まれ変わった。

 この日はオープン発表記者会見が行われ、上方漫才協会会長の中田カウスが登壇。

 上方漫才協会は2014年に、上方漫才の土台を固めるためにその核となる若手芸人を育成していくことを目的に設立された組織。NSCの繁栄で師匠を持たない若手芸人が増えたため、協会が師匠の役割を果たし、悩みの相談や芸を磨くための環境のサポートといったことをしている。

 その2014年には大阪・なんばのなんばグランド花月の向かいに「よしもと漫才劇場」が開館。若手お笑い芸人の拠点として、上方漫才協会に所属する芸歴おおよそ10年の若手漫才師たちが芸を磨き、アインシュタイン、ミキといった実力派の漫才師を輩出している。

 今回オープンした「神保町よしもと漫才劇場」はその東京版。東京吉本所属の芸歴6年目以下の芸人がここで芸を磨いていく。

 劇場では「バトルライブ」といわれるオーディションライブを半月に15回実施。そこには各回20組が出演し、1位を決定。そこで勝ち上がった15組の中での1位を決めるライブ「グランドバトルライブ」が月に2回実施される。またバトルライブ勝ち上がり15組と大阪漫才劇場メンバーの融合ライブである「ミックスライブ」、6年目以下の若手芸人が3分のネタを披露する25組が出演する「ネタライブ」といった演目が用意されている。 吉本が若手芸人育成のため「神保町よしもと漫才劇場」開館 挨拶する中田カウス上方漫才協会会長  中田会長は「吉本興業は創業109年目。この吉本興業の最高傑作は漫才。モノを持たず、しゃべくりだけでお客さんを喜ばせる。この漫才を考え付いたのはこの吉本興業。漫才という商品には吉本は一生責任を持たないといけない。そのためには次から次へと若手が出てこなければいけない。この会社の素晴らしいところはNSCという芸能学校があること。僕らの世代はそういう学校がなく、尊敬する師匠の家を訪ね、“弟子にしてください”“帰れ”という掛け合いの中で芸人になりたいという心意気をみてもらい、師匠は弟子入り志願の子の腹の内を探っていた。そこから芸人は始まっていた。今の芸人はNSCがあって師匠のいない世代だから、そこを卒業した生徒たちが迷子にならないようにと考えたのが上方漫才協会。協会が師匠の役目になり、いろいろな意味でサポートできたら、と思い協会をつくらせてもらったし、協会大賞を作った。ありがたいことにみんな受賞後も活躍している。何かの賞を受賞することだけを目的にして、その後、大変な思いをしている子もいるが、上方漫才協会の受賞者はその後も頑張っている。それは、やはり劇場があるから。“よしもと漫才劇場”を卒業したら、大阪では向かいにあるなんばグランド花月、東京だったらルミネ。これからは劇場を増やしていきたい。全国47都道府県に、その街に見合う大きさでいいから漫才劇場ができれば、というのが僕の夢。若手にとってもそういう足腰を鍛える場所が大事だと思う。ありがたいことに、今日オープンすることができた。残された人生をできるだけ若手のために生きていきたいと思う」などとこの劇場の存在意義について語った。