中井貴一が主演男優賞「おやじと同じことができてうれしい」/ブルーリボン賞

中井貴一が主演男優賞「おやじと同じことができてうれしい」/ブルーリボン賞

 サンケイスポーツなど在京スポーツ7紙の映画記者が選ぶ「第62回ブルーリボン賞」が27日、決定。中井貴一(58)が「記憶にございません!」で主演男優賞に輝いた。父で俳優、佐田啓二さんも第7回で受賞しており「おやじと同じことができてうれしい」としみじみ。総理大臣を演じた同作を撮影中に安倍晋三首相(65)と食事をしており「あの席にはW総理がいましたね」と笑わせた。主演女優賞は長澤まさみ(32)が受賞した。

 1964年に37歳の若さで死去した中井の父で俳優、佐田啓二さんは、中井が生まれる前の56年度に「あなた買います」と「台風騒動記」で主演男優賞を受賞。父が亡くなった当時2歳だった中井は母から聞いた話として「おやじは『主演男優賞は周りに取らせてもらう賞、助演男優賞は自分の芝居を評価してもらって取る賞。だから、助演を取ったときに初めて俳優として認められる』と言っていた」と明かした。

 中井は94年度に「四十七人の刺客」で第18回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞に輝いており「当時は、おやじができなかったことをできたことがうれしかった」と回顧。「今回はおやじと同じことができてうれしい」と笑みがはじけた。

 「記憶にございません!」では、支持率2・3%の総理大臣が記憶喪失になり、自らの夢と理想を取り戻そうと奮闘する姿を熱演。

 撮影中に成蹊大の先輩で親交のある安倍首相と食事をしており「総理に『今は何を演じていますか?』と聞かれ、『総理です』と答えました」とニヤリ。「ある意味、あの席にはW総理がいましたね」とおどけた。

 「記憶に-」のジャンルでもあるコメディーは、映画賞の獲得が難しいというのが通例で、中井は「賞をいただけて役者としてのモチベーションになる」と喜んだ。

 来年の授賞式では、主演女優賞の長澤と司会を担当。長澤は受賞インタビューで「子供の頃に憧れた俳優が中井さんだと伝えたことがある」としていたが、中井は「聞いていない。あいつは誰かと間違えている」と“反論”し、早くも名コンビぶりを発揮していた。