テリー・ギリアム監督がようやく掴んだ“見果てぬ夢”

引用元:ニッポン放送
テリー・ギリアム監督がようやく掴んだ“見果てぬ夢”

【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第766回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

 

今回は、1月24日に公開された『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』をご紹介します。 テリー・ギリアム監督がようやく掴んだ“見果てぬ夢” ニッポン放送「Tokyo cinema cloud X」

構想30年、頓挫9回…映画史に刻まれる“呪われた企画”が完成した!

『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』などで知られる鬼才テリー・ギリアム監督が30年間も挑み続けて来た、スペインの傑作古典「ドン・キホーテ」映画化プロジェクト。

ギリアム監督自身が「あまりにも長くこの企画に関わって来たので、完成する日は一生来ないのではないかと思っていた」とコメントするほど、その道のりは長く険しいものでした。

そんな積年の思いが結集された、夢と希望の物語『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』が、ついに! そう、ついに!! 日本でも公開となりました。 テリー・ギリアム監督がようやく掴んだ“見果てぬ夢” ニッポン放送「Tokyo cinema cloud X」 「構想30年なんて大袈裟な…」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、本作は「映画史上最も呪われた企画」と呼ばれるほどの“いわく付き“の映画。莫大な製作資金を調達してクランクインしたものの、初日2日目に自然災害の被害を受けたかと思えば、俳優が腰痛で降板。さらには脚本の権利を保険会社に取られてしまったり…と、災難の連続。

やむなく撮影中止に追い込まれてしまったその悪夢のような一部始終は、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』(2002年)というドキュメンタリー映画に収められているので、是非、本作と併せてご覧いただきたいところです。

私も18年前、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』を鑑賞し、テリー・ギリアム監督の不憫さに胸を痛めたものでした。それ以来、ギリアム監督の名を耳にするたびに「あの“ドン・キホーテ企画”はどうなったのだろう…」と、気になっていました。それだけに、本作の完成、そして日本公開決定を知ったときは、「ついに、そのときが来た!」と、心が踊りました!

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