演歌歌手、丘みどりデビュー15年「自分の世界観を築きたい」 

引用元:産経新聞
演歌歌手、丘みどりデビュー15年「自分の世界観を築きたい」 

 演歌歌手の丘みどり(35)が、デビュー15周年の節目を迎えた。昨年大みそかには3年連続のNHK紅白歌合戦出場を果たした。今月29日には新曲「五島恋椿/白山雪舞い」を出す。充実した日々を送っている。「今年もいろいろなことに挑戦したい」と意欲は尽きない。(石井健)

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 昨年は、忙しかった。2月に出した「紙の鶴」を歌い続けて紅白で披露したほか、8月にはシンガー・ソングライターで俳優の星野源(38)が主演した時代劇「引っ越し大名」で映画に初出演。11月には、これも自身初となったブルーレイ商品「丘みどりリサイタル2019~演魅(えんび)Vol.2~」を出すなど“初物”が続いた。

 10月に出した3作目のアルバム「女ごころ~十人十色~」は意欲作で、10人の女性作詞家が「女心」を書き下ろした新曲だけで構成した。

 また、11月には日パラオ外交関係樹立25周年記念事業として太平洋の島国、パラオでコンサートを開いた。パラオの姉妹都市である兵庫県の出身という関係で実現した。

 さらにテレビでは、バラエティー番組で焼き肉好きの歌手として注目され、コント番組に出て小学生にも知られるようになった。

 「いろんなことにチャレンジした1年でした」と明るい声で振り返る。

 取材中も笑顔を絶やさない。だが、苦労は長い。

 姫路市で生まれ育った民謡少女。平成17年8月、関西を拠点に演歌歌手としてデビューしたが、売れなかった。26年までに5曲を出したが、どれも売れなかった。

 「大阪で10年。長かった。このトンネルに出口はあるのかと思っていました」

 26年にNHKの歌番組で歌ったのを機に誘われて、28年に上京した。

 「上京した際、2つのことを決めたんです。一つは、周囲を信用すること。信じてだめだったら、あきらめもつくというものです。もう一つは、自分の意見を伝えること。そうでないと、いつまでも自分の人生に責任をもてない」

 心機一転して出した新曲「霧の川」を、全国のカラオケ喫茶やスナックで懸命に歌い続けた。29年の「佐渡の夕笛」で、ついに紅白初出場を決めた。紅白で歌うのは、18年に亡くなった母と交わした約束でもあった。

 今年は、デビュー15周年だ。「演歌を聞かない人にも演歌の魅力を知ってほしい」と新しい挑戦への意欲は尽きないが、「新しい挑戦も、地に足をつけて歌えてこそ」と認識している。例えば、発声練習の時間が日中に取れないなら、午前6時から行うなど努力は怠らない。

 演歌の大先輩、石川さゆり(61)を畏敬する。

 「石川さんが歌うと、一気に空気が切り替わる。石川さんの世界になる。オンリーワンの存在です。丘みどりの世界観を築くことが今年の課題」

 まずは、29日に新曲「五島恋椿/白山雪舞い」を出す。“両A面”扱いだ。今年は2曲を交互に歌っていくことになりそう。

 「区切りの年ですが、これまでと変わらず演歌をしっかりと歌いたい」