伊集院静さんがくも膜下出血、手術成功も「予断許さない」…妻・篠ひろ子「またペン持って」

引用元:スポーツ報知
伊集院静さんがくも膜下出血、手術成功も「予断許さない」…妻・篠ひろ子「またペン持って」

 作家の伊集院静さん(69)が21日にくも膜下出血のため倒れ、22日に手術を受けていたことが23日、分かった。この日、所属事務所が明らかにした。手術は成功し、経過は良好ではあるものの、予断を許さない状況という。妻の女優・篠ひろ子(71)はマスコミ各社に直筆の書面を寄せ「執筆生活を取り戻せる日まで精一杯頑張って参ります」と、伊集院さんと共に病気と闘っていく決意を示した。

 数々の小説やエッセーに加え、競輪やマージャンにも造詣が深く、東日本大震災が発生した2011年、宮城・仙台で開催されたプロ野球オールスター戦の特別寄稿をスポーツ報知に寄せるなど、幅広い才能で知られる伊集院さんが、病魔に倒れていたことが明らかになった。

 所属事務所と「西山博子」の本名で妻の篠がしたためた文面によると、伊集院さんは21日夜にくも膜下出血で倒れ、救急搬送。翌22日に手術を受けた。手術は成功し、経過は良好だが、篠によると「この先どのような状態になるのかまだ予断は許さない状況」という。

 所属事務所は、倒れた場所や状況などについては「お話しすることができません」とした。伊集院さんは投薬によって眠っている状態で、まだ本人と連絡が取れていないという。伊集院さんは篠の出身地である仙台で暮らしており、最近では、今月15日に発表された直木賞で審査員を務めていた。

 後遺症が残ることもある病気だけに、今後の回復状況次第では作家生活にも大きな影響を与えるかもしれない。篠も「道半ばで書く事を断念せざるを得ないとしたら、こんなに悲しい事はありません」とし、「願いが叶(かな)うのであれば又(また)、ペンを持って皆様に作品をお届け出来る事が私の心からの思いです」と、状況によっては断筆せざるを得ない可能性があることを示唆した。

 現在は、日本経済新聞の朝刊に「ミチクサ先生」を昨年9月から連載しているほか、週刊誌でも「週刊文春」で「悩むが花」のタイトルで人生相談コーナーを担当するなど、多数の連載を抱える。各社ともストックは多少あるとみられるが、今後の掲載について所属事務所は「これから話し合うことになるかと思います」とした。

 篠は「いままでのように穏やかな執筆生活を取り戻せる日まで精一杯頑張って参ります」とつづった。突然の病気に動揺していることは間違いないが、夫の回復を信じている様子だ。

 ◆くも膜下出血 脳卒中の一種で、脳を覆う3層の膜のうち、くも膜と軟膜の間に血管が裂けて出血が広がるもの。脳動脈瘤(りゅう)と呼ばれる動脈のコブが裂けて出血することが多い。突然の激しい頭痛や嘔吐(おうと)が典型的な症状で、意識障害が起きることも。最初の出血量によって、その後の回復状況が決まる。高血圧や喫煙、飲酒が発生に関連する要因として考えられる。

 ◆伊集院 静(いじゅういん・しずか)本名・西山忠来。1950年2月9日、山口県防府市生まれ。69歳。立大文学部卒。CMディレクターなどを経て81年に「皐月」で作家デビュー。91年、「乳房」で吉川英治文学新人賞、92年に「受け月」で直木賞を受賞。作詞家として「伊達歩」名義でも活動し、近藤真彦の「愚か者」が87年に日本レコード大賞を受賞。プライベートでは75年に一般女性と結婚し、2女をもうける。次女は女優・西山繭子。79年に離婚し84年、女優・夏目雅子さんと再婚も翌年に死別。92年に女優・篠ひろ子と3度目の結婚をした。2016年、紫綬褒章を受章。 報知新聞社