アウェーすぎるおしゃれ女子空間で、オタクよ耐えろ!「推しが武道館いってくれたら死ぬ」2話振り返り

引用元:ねとらぼ
アウェーすぎるおしゃれ女子空間で、オタクよ耐えろ!「推しが武道館いってくれたら死ぬ」2話振り返り

 大好きなアイドルがいる。彼女は生きているだけでファンサ。だから人生を賭けて推します! 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」は地下アイドルChamJamの市井舞菜と、彼女を命がけで推すドルオタえりぴよを描いた、情熱的でコミカルな物語。

【オタクが溶けそうな拷問タイム(2話)】

 2話は、アウェー経験のあるオタクには見ていて背筋が凍るようなシーンの連続。同時に救われた瞬間の多幸感に「あるある」を感じてつい目元が潤んでしまいかねない。アイドルとファン、どういう距離が適切なのかにも踏み込み始める回です。

ホームとアウェー

 えりぴよらが推しているアイドルグループ「ChamJam」が、岡山ガールズフェスタにゲスト出演決定! 狭い界隈(かいわい)で頑張っている彼女たちがついに大舞台に。

 「岡山の女子が全員観客席に集うという!?」とえりぴよが言うのは大げさ。要は「女子」という言葉がイメージする枠=今どきの女子力高い子、キラキラおしゃれ世界の住人、といった(オタク側視点だと腰が引けるような)ニュアンス。雑誌モデルが集まるため、自分の衣装を売っぱらってジャージでアイドル追っかけているえりぴよとは真逆の存在が集結する空間になることは間違いなし。

 とはいえ普段見ている層と別の層にアプローチするのはとても大事。だからChamJam的には大チャンス。喜ぶべきこと。のはず。

 ファンはそれを分かっているものの、やっぱり幾多の不安に襲われるってものです。

 まず選抜メンバー=人気順になってしまうこと。ユニットになるとこればっかりはどうやってもぶつかる問題。数値化された順番に沿う以外の方法がほぼないのは、誰もが理解しているはず。でも納得と心は別。「推しが人気の問題で出ない」というのは、やはりやりきれないものがあります。ChamJamで人気なのは、センターのれお、左の空音(そらね)、右の眞妃(まき)。改めて見ると、3人はそれぞれの個性をどうだすか熟知している様子。人気が高い理由が分かる映え方しています。

 えりぴよの推しの舞菜は、握手会を見た感じおそらく人気はドンケツ。出る雰囲気は感じられない。

 じゃあ行かない? いいえ。1%でも舞菜が出るなら、それを見届けなかったら後悔してしまう。モヤモヤしつつも当然のようにチケットは買います。

 ふたつめの悩みは、アウェーでの戦いになること。ChamJamが新たな世界に旅立つ瞬間ゆえの試練。オタクは自分たちと違う文化圏の人間の中で縮こまらねばならない。オタク三人衆のうち基(もとい)は妹がいたため勝ち組入場。えりぴよとくまさは、最前列で針のむしろの上に座るかのような時間と戦うことに。

 「ドルオタは推しが出ていない場面でも盛り上がるべし」は名言だと思います。あらゆるアイドルが心地よくステージを楽しみ、イベントそのものを成功させるには、ファンもまた空間の作り手たるべし。一方的な享受に甘えるなかれ。このへんが「いいオタク」くまさ氏の魅力あふれる生き方です。1話の反応を見ると、くまさへの「かっこいい」の声がちらほら見られました。とても紳士的かつ情熱的な愛すべきキャラクターです。

 ただし、自分たちの頑張りが場のルールにそぐうかは別問題。えりぴよ、くまさ、生き地獄。

 オタクには余りにもつらい異文化世界。それでもアイドルたちはもっと不安にかられているはず。アウェーの地で見てくれる人がいるか分からない恐怖との戦いの中舞台に出ることを考えたら、ファン側は弱音なんてはいていられない。

 新しい世界に羽ばたくことは、本人もファンも痛みを伴います。