久野美咲&小原好美が語る「群れなせ!シートン学園」アフレコ秘話 ”動きが遅いナマケモノはアドリブに…”【インタビュー】

久野美咲&小原好美が語る「群れなせ!シートン学園」アフレコ秘話 ”動きが遅いナマケモノはアドリブに…”【インタビュー】

2020年1月から放送がはじまったTVアニメ『群れなせ!シートン学園』。本作は、様々な動物たちが共に生活する「シートン学園」を舞台に、動物と動物擬人化キャラクターたちが繰り広げる“弱肉強食アニマル学園ラブコメ”となっている。

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アニメ!アニメ!では、本作でコアラ(メス)の擬人化キャラクター・子守ユカリを演じる久野美咲さん、ナマケモノ(メス)の擬人化キャラクター・獣生ミユビを演じる小原好美さんにインタビュー。TVアニメの見どころはもちろん、近年人気が高まっている動物キャラクターの魅力についても語っていただいた。
[取材・文=榎本麻紀恵/撮影=市原達也]

■すごく笑えて、勉強にもなる新感覚な作品です!
――TVアニメ化キャストに決まったときのお気持ちは、いかがでしたか?

久野:すごく嬉しかったです。役が決まってから原作を読ませていただいたのですが、ユカリは良い意味で強烈なキャラクターだったのでビックリしました(笑)。任せていただけたぶん、しっかり演じたいと思いました。

小原:実は、オーディションでは別の役を受けさせていただいていました。だから、ミユビを演じさせていただくと決まったときは驚きましたけど、でも同じくらい嬉しかったです。原作はすごく笑える部分もあるし、動物たちの豆知識も散りばめられているので勉強にもなるし、新感覚な作品だなと思いました。

――お2人が演じるキャラクターについても教えてください。

久野:ユカリはコアラの擬人化キャラクターです。ユーカリが大好きで、たまに天然だったりもするんですけど、基本的には明るい性格で、料理部のみんなを温かく見守っています。他のキャラクターに比べると、精神年齢が高い感じがしますね。

小原:そうですよね。大人っぽい感じがします。

久野:背が低くて体は小さいんですけど、中身はしっかりしているというギャップも感じるキャラクターですね。

小原:ミユビは、ナマケモノの擬人化キャラクターなので、喋るトーンや動作がすごくゆっくりなんです。そして、ナマケモノの生態と同じで、些細なキッカケで死んでしまうという設定があります(笑)。

久野:こんなに作中で何度もギャグとして死んじゃうキャラクターは、なかなかいないよね(笑)。

小原:死んじゃうと笑われるっていうのもコメディならではですよね(笑)。私としても、ミユビはこれまでに演じたことのないキャラクターだったので、役の幅が広げられて嬉しかったです。

――演じる上で意識したことはありますか?

久野:ユカリ本人は悪気無く言っている台詞が、実際には鋭いツッコミになっているシーンが多いので、嫌味に聞こえないよう意識しました。それからユカリは、「だ」行の発音が「ら」行になってしまうという特徴があるので、発声も意識しましたね。アフレコが始まる前に、そもそも滑舌が悪くて「だ」行が言えないのか、それとも「だ」行だけが言えないのか、スタッフさんに確認したんです。

そうしたら、「全体的に滑舌が甘めなキャラクター」というディレクションをいただきました。ユカリは原作よりも、TVアニメの方が幼く描かれるとうかがったので、原作も踏襲しつつアニメならではのユカリも表現できたらと思いました。

――喋り方に特徴があるキャラクターを演じる場合、日常会話でもついその癖が出てしまうことはありませんか?

久野:それはないですね(笑)。普段から「そうれす」って言っていたら面白い人になってしまいます(笑)。

小原:いや、私は久野さんが「そうれす」って言っていたらキュンとします!

久野:え~!キュンとしないで(笑)! 小原ちゃんは、ミユビを演じるときに意識したことはある?

小原:ミユビはスローテンポだったので、優しい音が出せるようにと、意識していました。ゆっくり喋る分、他のキャラクターよりも尺が多めに取られていたのですが、用意された尺よりも早くセリフを言い切ってしまうことも多くて、スタッフさんから、「もっとゆっくり」とディレクションされていました。

――スローテンポのセリフ回しだと、感情を込めるのも難しいのでは?

小原:でも、セリフ自体は短いので、その中で気持ちを込めていくのは、逆に演じやすかったですね。

久野:そうなんだ! この現場はギャグシーンが多くてみんなの会話のテンポが速かったから、つられそうで大変そうだなって思ってたの。

小原:スローテンポで長いセリフだったら難しかったかもしれませんが、ミユビの場合は感情が込めやすかったです。

――アフレコ現場での印象的なエピソードも教えてください。

小原:みんなでアドリブをするシーンがあったんですけど、ミユビはみんなよりもテンポがかなりゆっくりなので、アドリブのシーンには参加させてもらえなかったということがありました(笑)。

久野:スタッフさんから「ミユビだけアドリブはなくて大丈夫です」って言われて、その度に小原ちゃんが残念そうな表情をしているのが印象的でした(笑)。

小原:でも、私が残念そうにしていると、他のキャストの方々が「大丈夫だよ!」って慰めてくださって、温かい現場だなって思っていました(笑)。

――雰囲気の良い現場だったんですね。

小原:原作の空気感と同じように、現場もにぎやかでしたね。

久野:この作品では、ゲストキャラクターが登場するのですが、そのキャストさんはベテランの先輩ばかりでした。キャリアや年齢を問わず、色々な方がいらしたので、スタジオの中が先輩や後輩、先生がいる学校に見えてきて。

小原:一度、休憩時間にみんなで差し入れをいただいていたときがあったのですが、気がついたら収録を再開する時間になっていて。そこに音響監督の郷文裕貴さんが来て、「みんな収録始めるよー!」って声をかけてくださるということもあったので、そのときは「あ!先生がいる!」って思いましたね(笑)。

久野:そうそう!たしかに郷さんがアフレコ現場を引っ張ってくださる担任の先生みたいな感じだったよね。

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■動物擬人化キャラクターの魅力はどこに…?

――お2人が同じ作品でしっかりと一緒になるのは、今回が初めてだとか。

小原:こんなにガッツリとご一緒するのは初めてですね。最初にご一緒させていただいたのは、別の作品で。

久野:たしか2年くらい前だよね?

小原:久野さんとご一緒できるのが、すごく嬉しかったのを覚えています。本当は現場でも話しかけたかったのですが、緊張していたのと、久野さんは主人公を演じていたので、セリフ量も多いから話しかけたらご迷惑になるかもと遠慮してしまって……。でも、久野さんの方から話しかけてくださって、すごく優しい方だなと思いました。

久野:そう言われると恥ずかしい……(笑)。

――久野さんから見た小原さんの当時の印象はいかがでした?

久野:そのときは事務所に所属したばかりだという話を聞いていましたが、堂々とアフレコに臨んでいる姿が印象的でした。そのときに小原ちゃんが演じていた役は、ギャップがあって難しい役だったのですが、しっかりと演じられていたので、頼もしいなと思いました。

小原:そんなにふうに言ってくださるなんて……。当時は緊張しすぎて吐きそうでした(笑)。

久野:全然そんなふうに見えなかったよ!?(笑)

――久野さん演じるユカリは料理が得意であったり、食にこだわりを持っているキャラクターですが、お2人も何かこだわりを持っていたりしますか?

久野:特にこだわりはないかもしれないです。食でいうと、パクチーはちょっと苦手で……。

小原:え、そうなんですか? 私もパクチーは食べられないです!

久野:そうなんだ、一緒だね(笑)。あとは、お芋が好きです!

小原:え! 私もお芋が好きです!(笑)

久野:本当?食の好みが合うんだね! 私はお芋だったらなんでも好きで、家でもよく肉じゃがやポトフを作っています。小原ちゃんは何かこだわりってある?

小原:こだわりというか、ミユビとの共通点ならありますね。ミユビはナマケモノなのにスポーツが好きで、部屋にはいろんなスポーツ器具が置いてあるんです。私も学生の頃から体を動かすことが好きなので、すごく共感できます。
ちょうど、この作品の収録をしていたときはジムに通っていたので、ダンベルを見るとミユビを思い出していました。本当だったらミユビもダンベルを持ち上げたかったんだろうなって(笑)。

久野:もしミユビが持ち上げたら、またギャグシーンになっちゃうね(笑)。

――近年、動物擬人化キャラクターが出てくる作品が増えていますが、魅力はどこにあると思いますか?

久野:やっぱりビジュアルですね。耳やしっぽのモフモフ感は動物擬人化キャラクターならではだと思います。

小原:あとは性格や言動が、基にしている動物の特徴を捉えた描かれ方をしているので、そこも動物キャラの良さなんじゃないかなと。

久野:「シートン学園」ではたくさんの種類の動物が出てくるし、こんなに個性的なキャラクターたちが一緒に部活動をするっていうのは、すごいよね。

小原:そうなんですよね。それをひとつの物語としてまとめているので、収録のたびに、すごいなと感じていました。

久野:ミユビがかぶっている帽子もすごくかわいいよね。

小原:これ、帽子じゃなくて頭に生えたコケなんですよ(笑)。

久野:そうだったんだ!でもおしゃれなベレー帽に見えるね!

小原:ミユビはこのコケを食べているんです! 最初にその設定を聞いたときはすごく驚きました(笑)。

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■「学生時代からパーソナルな部分は変わっていない」
――本作に触れて、ご自身の学生時代を思い出したりはしましたか?

久野:体育祭のお話が出てくるのですが、そのときに高校時代の体育祭を思い出しました。

小原:私も思い出しました。現場に入って、すぐにみんなと打ち解けて仲良くなれたのですが、学生時代もこんな感じだったなと、懐かしい気持ちになりました。

――学生時代はどんな子でしたか?

小原:私はミユビとは逆で、おとなしいタイプではなかったですね。それこそ体育祭のときはみんなと一緒にはしゃぐタイプでした(笑)。

久野:小原ちゃんは本当に明るくて元気だもんね。アフレコ現場でもムードメーカーのような存在なんです。

小原:久野さんはどんな学生でした?

久野:私は、おとなしめな方だったかもしれないです。休憩時間は友達とまったりおしゃべりするのが好きでした。

小原:たしかに現場でも、私や他のみんなが喋っているときに、久野さんがその様子を微笑みながら見てくれている感じでした。

久野:ユカリみたいに見守っていましたね。

小原:基本的には、私と久野さんは正反対なタイプですよね。

久野:今の話を聞いていると、学生時代からパーソナルな部分はあんまり変わってないのかもしれないね(笑)。

――学生時代に部活動はされていましたか?

小原:もともと走るのが好きだったので、小学生のときは陸上大会に出ていました。でも小学校に陸上部はなかったので、ミニバスケットボールをやっていて、中学のときはバドミントン部に入っていました。部活から帰ってきたら走りにも行っていました。

久野:すごい! スポーツ少女だったんだね! 私は小学校のときは音楽部に入っていて、トランペットを吹いていました。

小原:えー、すごい!

久野:中学、高校の6年間はバトントワリングをやっていました。

小原:私、久野さんがバトン回している動画を見たことあります!

久野:え、どうして!?(笑)

小原:その動画を見て、バトンの経験があるんだなって。

久野:すごい恥ずかしいんだけど……(笑)。小原ちゃんは時々、私が出ている作品や動画を観ましたって報告してくれるんです。

小原:隠れオタクみたいですみません(笑)。

久野:ううん、嬉しいよ! でもまさかバトンも見られているとは(笑)。恥ずかしいなぁ……。

――お2人で部活動をされるなら、どんな部を立ち上げたいですか?

久野:小原ちゃんの明るさや元気さが活かせる部活動が良いね!

小原:久野さんがやられていたバトンも良いですね。私もやってみたいです!

久野:あとは応援団も良いんじゃないかな? 元気が大切な部活だし、小原ちゃんが応援してくれたら頑張れそう!

小原:私は個人的に、久野さんがお料理している姿を見たいですね。先ほど、自炊もされているって言っていましたし。

久野:小原ちゃんも自炊するの?

小原:時間があるときはやっています! でももっと料理したいなとも思っているので、作品と同じようにメインキャストで料理部を立ち上げてみるのもおもしろそうですね。

久野:みんなで料理を作るとしたら何を作ろうか?

小原:えー、悩みますね!お好み焼きとかたこ焼きだったら、みんなでワイワイしながら作れそうですよね!

久野:パーティーみたいで楽しそうだね!

――今の時期だと、鍋パーティーはいかがでしょう?

久野:お鍋も良いですね。でも、お鍋は料理と言っていいのかな?(笑)。

小原:食材を入れるだけですもんね(笑)。でも、野性的な感じがして「シートン学園」っぽさはあるかも。

久野:たしかに料理部っぽいね(笑)!

小原:ちゃんと料理している人と、ふざける人で分かれそうですね。

久野:そうだね。アフレコ現場みたいに個性が出そうだね(笑)。

――最後に改めて、TVアニメの放送を楽しみにしているファンのみなさんへ向けて、メッセージをお願いします。

久野:原作を読まれている方はご存知だと思いますが、とってもおもしろいコメディ作品になっています。アニメーションならではのキャラの表情や動き、テンポ感や、色合い、音楽がついて、盛りだくさんな内容になっています。カット数も毎回とっても多くて、まばたきの時間も惜しいくらいにお話が進んでいきます。ぜひ、楽しみながら観ていただけたら嬉しいです。宜しくお願い致します!

小原:しっかりと動物の特徴を捉えて描かれているので、こういう生き物だったんだと、勉強にもなる作品だと思います。素晴らしい原作の良さをより活かすために、スタッフさんやキャストの方々と一緒に、全員が120%の力を込めて作り上げたので、今後の放送もぜひ楽しみにしていてください。

(C) 山下文吾・Cygames/アニメ「群れなせ!シートン学園」製作委員会 アニメ!アニメ! 榎本麻紀恵