YouTuber「ヴァンゆん」ゆん お金なく毎日コーンフレーク

YouTuber「ヴァンゆん」ゆん お金なく毎日コーンフレーク

【役者・芸人「貧乏物語」】

 ユーチューバーで186万超えの登録者数と、総再生回数7億6900万回のヴァンゆん。ルックスのいい男女の人気コンビが昨年、ユーチューバーとして初の芸能プロ入りを果たして話題に。もともとタレント志望のゆん(写真右)は、デビュー前には父の会社を継ぎ、動画投稿を始めた頃はお金がないため、コーンフレークで毎日をしのぐ貧乏つづきで……。

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 高校の頃に、友達が地元・名古屋のアイドルオーディションの用紙を持ってきて、「みんなで受けようね!」って約束したんですけど、翌日になって確認したら、誰も応募してなくて、出したのは私だけ……。友達から「アイドルを目指したら!?」とはチョイチョイ言われていたけど、一歩が踏み出せなかったから、私に受けさせたくて、考えた作戦だったらしいんです。

 それがきっかけで一歩踏み出し、その後もアイドル活動を頑張っていました。しかし、少しずつファンが増え始めた時期にお父さんが病気で亡くなってしまいました。父は地元で人材派遣の自営業を経営していて、母はフィリピン人なので、日本語や文字を書いたり読んだりするスキルも完璧ではなかったので、長女の私が父の会社を継がなきゃならなくなり、アイドル活動を断念しました。当時22歳だから、3年前です。

 だけど、「アイドルからのマルチタレントになりたい!」という夢をかなえたくて、お母さんも仕事に慣れ始めた頃に上京。そして、あるファッションショーのオーディションを受け、グランプリを獲得した時に偶然、見にきていたユーチューバーの事務所の方からスカウトされました。実はその頃は、私自身がユーチューブを見ていなかったから「何それ?」でしたけど、1カ月ずっと説得されて、自分のチャンネルを開設。しかし、現実的には東京の高い家賃を払うために昼夜バイトの日々で動画制作、動画投稿も頻繁にできず、再生回数が伸びなくて……。

 そんな時、ユーチューバーが40人くらい集まった屋形船での懇親会に誘われた日、偶然、隣同士になったヴァンビくんに相談。「ユーチューブ活動一本に絞らないと!」とアドバイスを受けて、翌日にはバイトを全部辞めて、毎日動画を上げ始めました。当時は本当にお金がないので、毎日コーンフレークをボリボリ食べてしのいで。実際、父の会社には借金もあったし、弟と妹はまだ学生で働けなかったから、借金を返済するというプレッシャーを感じながらも、本気で動画を作ってましたね。そこまで追いつめられてなかったら、ここまで頑張れなかったと思う。どん底でしたから。

■フィリピン人の母がフィリピン語で怒ってる動画が人気に

 当初の動画はメークやファッションを紹介したり、お母さんにドッキリを仕掛けたり。「私、結婚するよ」と嘘の電話をかけ、お母さんがフィリピン語で怒っている動画が人気でした。家族の仲のよさがウケてるみたいで、毎日投稿すると再生回数が5万、10万と増えて。

 それから数カ月が経過した頃に、ヴァンビくんと動画でコラボしたら、なんとその動画が100万回再生まで跳ね上がったので、それをきっかけに2人で組むことになりました。それが一昨年の夏かな。ヴァンビくんはお調子者のチャラいキャラに見えますが、実はちゃんと戦略を考えていたり、パソコンで1分ごとの再生回数をデイトレーダーのように見続けていたりと熱い思いのある人だとわかり、この人となら組んでもいいと決めました。

 2人でロケに出かけたり、互いにドッキリを仕掛けたりするやりとりで、私たちの「付き合う? 付き合わない?」の関係が今の視聴者の中心でもある、10代、20代前半の男女に刺さったジャンルだったと思います。ヴァンビくんいわく、「俺らのコンセプトは終わらない少女マンガだ」と(笑い)。

 私自身はマルチタレントが夢なので、昨年芸能プロに所属して以降、少しずつテレビ番組に出演できていることは本当にうれしいです! とくにお母さんが一番喜んでくれます。「ちゃんと夢をかなえてすごいね」と。これからも頑張るので、ユーチューブもテレビでもよろしくお願いします!

(聞き手=松野大介)

▽ゆん 愛知県出身。2017年、ユーチューブに「ゆんちゃんねる」開設。翌年、ヴァンビと「ヴァンゆんチャンネル」を開設し、人気に。昨年9月にユーチューバーとして初の芸能プロ所属となり、話題になった。