ひとりの人間としてのジョン・レノンに触れられる名盤『イマジン』

引用元:OKMusic
ひとりの人間としてのジョン・レノンに触れられる名盤『イマジン』

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はジョン・レノンがソロ第二弾として送り出した『イマジン』を紹介する。ビートルズ時代、新聞や雑誌、テレビをはじめとするメディアに、興味本位による虚像を作り上げられたジョン・レノン。もちろん、彼の苦悩がどれほどのものか我々凡人には知る由もないが、ビートルズ解散後にリリースされた初のソロアルバム『ジョンの魂』(’70)は、一般のリスナーにも彼の本当の人間性が理解できるような仕上がりになっていて、表現者としてのジョン・レノンの天才ぶりがよく分かる大傑作であった。そして、本作『イマジン』。前作と比べると、70年初頭に大流行した内省的なシンガーソングライター的表現が強くなってはいるが、アルバムとしての完成度はさらに増している。本作がジョン・レノンのソロ時代における代表作だと言い切ってもよいだろう。彼の内面の叫びがビシビシと伝わってくる傑作だ。
※本稿は2015年に掲載

優れたロック作品が次々にリリースされた70年代初頭

1950年代の終わり、ポピュラー音楽界に華々しく登場したのが“ロックンロール”という新しい音楽。このロックンロールは多くの偉大なミュージシャンたちによって研ぎ澄まされ、60年代に大きく飛躍したのだが、進化の中で登場したビートルズとボブ・ディランが大きな役割を担うことになった。彼らの実験的かつ真摯なアルバム制作にインスパイアされた若者たちが育っていくことによって、まだまだいろんな場所で火種がくすぶり続けていた。

60年代中頃には、ビートルズやボブ・ディランに影響を受けたミュージシャンたちが音楽シーンに参入し、1968年から1971年あたりには、すでに現在のロックとさほど変わらない形態になっている。僕は、この時代こそがロックが完成する爆発的な4年間だったと個人的には考えている。この4年でハードロック、ヘヴィメタル、プログレ、フォークロック、パンクロック、ポップロック、ブルースロックなど、現在のロックのスタイルのほぼ全てが出揃っている。ないのはラップぐらいではないか?…と思えるほど、多種多様化な革新的なアルバムが登場している。