19日スタート NHK大河ドラマ「麒麟がくる」が背負う重すぎる期待

19日スタート NHK大河ドラマ「麒麟がくる」が背負う重すぎる期待

【テレビが10倍面白くなるコラム】

 19日から始まるNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(総合午後8時)は大変である。なにしろ、背負わされているものが多い。

 まず、去年の「いだてん~東京オリムピック噺~」で8・2%まで落ちた平均視聴率を回復しなければならない。上からは「世帯視聴率で15%超」を言われているのではないか。

 同じ戦国ものの「真田丸」(2016年)は16・6%、「軍師官兵衛」(14年)は15・8%だったから、15%クリアは無理な数字というわけではない。

「信長、秀吉、家康の3大ヒーローはやり尽くしていますが、彼らの周囲にいた人物を主人公にすれば、誰もが知っている合戦やエピソードを盛り込みながら、オリジナルの戦国ストーリーを展開できます。生い立ちがはっきりせず、最後は本能寺、三日天下で自滅というクライマックスを迎える明智光秀は、うってつけです」(ベテラン脚本家)

 大河ドラマの時代劇としては、初めて4Kフル撮影というチャレンジもある。

 そのため、巨匠黒沢明の長女の黒沢和子がデザインを担当して、これまでのセピア系の武将たちとはがらりと違う色鮮やかな衣装になった。光秀はライトブルー、信長はイエロー、足軽の甲冑も赤や黄色の原色のモザイク模様と、4K映えを狙っている。4K放送のPRも担わされているのだ。

 NHKはスマホやパソコンでも地上波番組が見られる「常時同時配信」の4月スタートを目指しているが、それをきっかけに、若い視聴者にもっと大河を見てもらわなければならない。

 さらに、局内からは、昨年、ピエール瀧、沢尻エリカと出演者の相次ぐ薬物汚染で落ちたイメージの修復を、何よりも期待されている。

 あれもこれもということで、とにかく盛り上げろと前宣伝が凄かった。「チコちゃんに叱られる!」「ごごナマ」「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」「偉人たちの健康診断」など、バラエティーや情報番組で大河とコラボのスペシャルを企画し、ミニ番組「まるごと紹介!大河ドラマ『麒麟がくる』」を毎日2回も3回も流した。きょう18日も、「カウントダウン大河ドラマ『麒麟がくる』」を放送する念の入れようである。

 これでズッコケたら後がないと必死なのだが、心配がひとつある。物語の前半は光秀らの若き日々がテーマで、桶狭間の戦いは半年も先だという。戦国時代劇ファンは、それまで我慢して見続けてくれるかどうか。

 (コラムニスト・海原かみな)