ヒューマンアンドロイド・オルタ3がオーケストラ指揮、2大学共同研究で

ヒューマンアンドロイド・オルタ3がオーケストラ指揮、2大学共同研究で

ヒューマンアンドロイド・オルタ3を使った演奏表現の創造を目指す研究がスタートし、1月11日に東京・国立音楽大学 新1号館 オーケストラスタジオで記者会見が行われた。

【写真】左から、オルタ3(Supported by mixi, Inc.)と北原恵理氏。(メディアギャラリー他1件)

これは、国立音楽大学と東京大学が共同研究を行うもの。これまでのヒューマンアンドロイド研究が求めた“生命らしさ”に加え、音楽を媒介したコミュニケーション、音声処理や動作による人間らしさなどを探求する。記者会見当日は、音楽家の渋谷慶一郎をはじめ、両大学の教授らが登壇。会見では、オルタ3の指揮・歌唱により、アンドロイドオペラ「Scary Beauty」の代表楽曲「Scary Beauty」が披露された。

作曲を手がけた渋谷は、“アンドロイドによるオペラ”の発想の原点には、「オーケストラや劇場という音楽の中でも際立って“制度的”なものに自由なテクノロジーをぶつけたとき、どんな相互作用が起きるか」があるとし、「アンドロイドのいいところは不完全であること。だからこそ、いろいろな音楽家と科学者の間でさまざまなアイデアや創発的な交換が生まれやすい。今回、かなり厳密にオーケストラとオルタ3の関係、反応を精査したことで、アンドロイドという指揮における偶発性や不定形さなどが演奏にいかに有効・無効であるかの線引きが見えた気がする」と語った。

また、コンサートマスターを務めた演奏・創作学 科弦管打楽器専修の北原恵理氏は、「人間は演奏していると音楽が盛り上がったらテンポが上がったり、音量を大きくしてしまうことがあるけど、オルタ3はそのようなズレが今はない。こうした違いは面白く感じました」と率直な感想を述べた。

このほか会見ではアンドロイドと人間の共生やAI研究の展望などについても議論が行われた。