中村雀右衛門「1年で14か月舞台に出ていたい」…歌舞伎座「奥州安達原 袖萩祭文」

引用元:スポーツ報知
中村雀右衛門「1年で14か月舞台に出ていたい」…歌舞伎座「奥州安達原 袖萩祭文」

 女形の中村雀右衛門(64)が東京・歌舞伎座1月公演、昼の部「奥州安達原 袖萩祭文(そではぎさいもん)」で難役の袖萩を演じている。今回で2度目。親に背いて駆け落ちするも、変わり果てた盲目姿で戻ってくる。父で皇子環宮(たまきのみや)の養育掛・平けん仗直方(たいらのけんじょうなおかた、中村東蔵)が窮地に。それを知って幼い娘に手を引かれ対面を願うが、枝折り戸を開けることすら許されない。雪が降りしきる中、瞽女(ごぜ)の身となった袖萩は三味線を弾き悔恨の思いを語り始める。

【写真】海老蔵、悔し涙の勸玄くんを優しく抱きしめる

 「本当に不幸でかわいそうな哀れな役ですが、娘、母親としての情愛を大事にしたい。三味線を弾きながらのお芝居は、難しいものです」。同じく昼の部、新歌舞伎十八番「素襖落(すおうおとし)」では、太郎冠者を演じる中村吉右衛門(75)との共演で姫御寮役。「袖萩とは全然違う役ですが、紅一点。とにかく大事に勤めようと心がけています」

 5代目雀右衛門を襲名して4年。芸の上品さ、かれんさに定評があり、確実に芸域を広げている。「4年は早いものです。でも、もっと勉強ですね」。初心を持ち続けることを肝に銘じている。

 休日がちょっと苦手だそうで「少し長く休むと逆に体調が変に。私の場合、1年で14か月、歌舞伎に出ていたいと思うほどです」。より密度の濃い芸を目指して。芸質とも重なり、取材の受け答えも折り目正しく、几帳面さをうかがわせる人だ。 報知新聞社