『ポケットモンスター ソード・シールド』ついにポケモンはマイナーチェンジ版をDLCに変えた:これは喜ぶべきか、怒るべきなのか?

引用元:IGN JAPAN
『ポケットモンスター ソード・シールド』ついにポケモンはマイナーチェンジ版をDLCに変えた:これは喜ぶべきか、怒るべきなのか?

『ポケットモンスター ソード・シールド』の有料追加コンテンツ(DLC)である「エキスパンション・パス」が発表された。このDLCを導入すると、新たなポケモンたちが待ち受ける未踏の冒険の舞台へ向かうことができる。
実は、「ポケットモンスター」シリーズでDLC展開はとても珍しい(他商品のおまけにポケモンなどがつくことはよくあったが)。これまで本編シリーズは翌年あたりに追加要素を加えた新作、ユーザーからは「マイナーチェンジ」と呼ばれるバージョンを展開していたのだ。たとえば、ニンテンドー3DS『ポケットモンスター サン・ムーン』の翌年には『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』が発売されている。だが今回は、DLCとして追加要素が単体で販売される。
ポケモンの開発会社であるゲームフリークがこれまでと違う方針をとったことにより、ユーザーからは賛否両論あるようだ。はたしてこれは喜ぶべきか、怒るべきなのか。改めて考えてみよう。
マイナーチェンジ版はメーカーのメリットが大きい

「ポケットモンスター ソード・シールド」画像・動画ギャラリー

まずは従来のマイナーチェンジ版のメリットを考えてみよう。結論からいえば、こちらはメーカーにとって都合がいいと考えられる。
マイナーチェンジ版は前作の内容を一部変更・追加して発売しており、実質的にはDLCを含んだものと大差ない。だが、マイナーチェンジ版はタイトル名の違う新作として扱うことができる。昨今はホリデーシーズンに向けて必ず新作を出そうとしているこのシリーズにとって、これは大きいはずである。
「ポケットモンスター」シリーズはプレイヤーの数も非常に多いため、なかにはネット接続を行わずに遊ぶ層もいるうえに、その数も他作品と比較すれば多いはず。それを考えるとDLCで展開するよりも、パッケージで売るほうが扱いやすいというメリットもある。これはメーカーのみならず、ゲーム機のネット接続を行わないユーザーにとってもいいことだろう。
何より、売上を無視できない。『ポケットモンスター サン・ムーン』は全世界で約1617万本を売り上げており、その翌年に出したマイナーチェンジ版の『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』は全世界で約857万本を記録している。半減こそしているが数としては大きなものであり、しかもどちらもフルプライスで販売できるのだから、決してメーカーにとって悪い話ではないはずだ。
DLCの場合はユーザーにとってメリットがある

一方のDLCは、ユーザーにとって嬉しいことばかりだ。まず今回のDLCは第1弾と第2弾をあわせて2980円(税込)である。フルプライスのパッケージ版は値引きなどを考慮したとしても、ここまでの安さにはならない。
そしてDLCは展開が早い。DLCは第1弾が2020年6月末までに配信予定で、第2弾が2020年秋配信予定となっている。マイナーチェンジ版であればホリデーシーズンあたりに発売される、つまり従来であればユーザーは1年も待たねばならないのに、DLCならばそれより断然早いのだ。
また、これまでのマイナーチェンジ版はセーブデータを引き継げないため、イチから遊び直しになる。追加要素はあれど通常版もマイナーチェンジ版も大筋は同じなので、やはりどうしても同じゲームをまた遊んでいるという印象は残ってしまう。一方、今回は自分のセーブデータから追加コンテンツ分が遊べると明言されている。

さらにDLCであればストーリーが混乱しづらくなる。マイナーチェンジ版はたいてい「従来の要素+新たな伝説のポケモン+いくつかのおまけ要素」という構成になっているのだが、無理に追加するせいで話がおかしくなることもしばしば。
『ポケットモンスター サン・ムーン』には「リーリエ」という非常に人気が高いキャラクターがいる。人気の理由はやはり、ストーリーで彼女が活躍するからだ。物語の後半にはリーリエが主人公との出会いを通じて成長したり、あるいは一緒に雨宿りする微笑ましいイベントがあった。しかし、マイナーチェンジ版である『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』では、そのあたりをバッサリと改変。レビューで指摘したように物語の長所がなくなってしまい、追加要素を入れるために違和感が増えている。

物語といえば、『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』も問題がある 。