映画「カメラを止めるな!」の濱津隆之(38)が地上波ドラマに初主演。「絶メシロード」(テレビ東京系24日スタート)は、くたびれた中年サラリーマンが、絶滅しそうな絶品飯=絶メシを求めて、車内泊で週末限定の小さな冒険に出る物語。等身大で主人公の須田民生を演じた濱津を直撃した。
――撮影は、実在する「絶メシ」を巡るロケが中心のようですが、印象的だったお店は?
「高崎にあるラーメン屋さんですね。建物は古くて、見た目はだいぶ年季が入っているんですが、味は昔ながらの醤油ラーメンで、すごくおいしいんです」
――今回は、ストレスをたくさん抱えている、しがない中年サラリーマンという役どころです。
「だいぶ自分に近いところがありました(笑い)。ほぼ自分というか。気が弱くて、あちこちにすぐに巻き込まれちゃう」
――「カメ止め」に続き、またハマり役ですね?
「そう言っていただけるのは、すごくうれしいです」
――濱津さんは芸人やDJを経て、30歳で役者になることを決意したとか。
「小さい頃から人を笑わせることは好きだったんですよ。でも芸人では芽が出なくて……。それなら、唯一の趣味だった音楽で何かできないかと思い、DJという存在を知って、やってみたんです。でも、それもなんか違うなと」
――かつてのインタビューでは「生きることはあきらめることだ」と答えていますね。
「何か表現することをやりたいというのはあったんです。で、30歳になってどうしようとなったときに、芸人時代にコントをやっていて楽しかったことを思い出したんですね。でも芸人は一度挫折している。それでなんとなく役者をやってみようかと。若い人に交ざって養成所に通い、徐々に舞台などにも出るようになりました」 (C)「絶メシRoad」製作委員会
一昨年の秋ごろはホテルの清掃員のバイトを――30歳にしての挑戦に焦りはありませんでしたか?
「ありましたよ。焦りしかなかったです。焦りと不安しかなかったです」
――それが解消されたのは、やはり「カメ止め」でのブレークで?
「うーん、それだけではないんですが……。焦って先ばっか見ててもしょうがないし、徐々に達観していたというか。そんなときにあの作品があったんです。あの作品がいろんな映画賞で表彰されていた一昨年の秋ごろは、自分はまだホテルの清掃員のバイトもしていましたし」
――あきらめて、腹をくくってやっていたら運も巡ってきたということですか。
「それは分かりません。分かりませんけど、やっぱり回り道をしていたことも今の自分をつくっていると思いますね」
――それは今回の“気弱なサラリーマン”という役にも反映されている?
「うーん、自分も相手に強く言うことはないですし、強く押されると言えなくて、自分の中でためこんじゃうところはありますね」
――普段、心がけていることは何ですか。
「なんだろう。難しいですね。大事にしてることは、自分は嘘をつくのが苦手なので、自分に嘘をつかないようにというのはありますね。自分の中にある信念みたいなものにはできるだけ誠実でいたいと。そのために他のことはあきらめるというのはあるのかも知れません」
(聞き手=平川隆一/日刊ゲンダイ)
“カメ止め”でブレーク濱津隆之が地上波ドラマ初主演「焦りと不安しかなかった…」
引用元:日刊ゲンダイDIGITAL