新海誠監督や野田洋次郎も注目の仲良し双子「“特殊な趣味”という偏見をなくしたい」

引用元:オリコン
新海誠監督や野田洋次郎も注目の仲良し双子「“特殊な趣味”という偏見をなくしたい」

 昨年末4日間にわたり開催され、総来場者数は過去最高となる75万人を記録した『コミックマーケット97(以下、コミケ97)』。そんな同イベントの見どころのひとつでもある“コスプレ”は、いまや日本を代表するポップカルチャーの一角として、海外でも広く認知されている。こちらの記事では『コミケ97』でも話題を集めた双子のコスプレイヤー・雪野ななさん、雪野るなさんにインタビューを実施。双子ならではのエピソードをたっぷり語ってもらった。

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■双子レイヤーならではの“あるある”披露「一番のライバル」「2人そろって一人前」

――現在どのようにコスプレに取り組んでいるか教えてください。

【雪野るな】大学に通いながら、趣味としてはもちろん、お仕事としてもコスプレをしています。もともとモデルの仕事をしていたんですけど、趣味のコスプレを仕事にできたらもっと視野が広がるんじゃないかと思って、昨年から事務所に所属して、本格的にお仕事としてのコスプレ活動に励んでいます。

【雪野なな】私も、るなとは別の大学に通いながら、趣味とお仕事の両方でコスプレ活動に取り組んでいます。衣装制作は分担制で、るなが衣装、私がウイッグを作ります。ただ単に役割を割り振ったわけじゃなくて、私は衣装作るのは苦手なんです(笑)。

【雪野るな】でもウイッグを作るのは私より断然上手なんですよ。

――補い合っているんですね。そんなおふたりが、コスプレを始めたきっかけは?

【雪野るな】高校1年生のときに、友だちに誘われてディズニーランドのハロウィンに行ったのがきっかけです。そこでコスプレの楽しさを知って、その勢いで池袋でのハロウィンイベントに行って、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイのコスプレをしたんです。コスプレって、やったら可愛くなるものだと思ってたんですけど、これがびっくりするくらい似合わなくて…。その悔しさをバネにウイッグやメイクの勉強をして、気づいたらコスプレが趣味になっていました。

【雪野なな】私はSNSでコスプレイヤーの写真を見るのが好きだったんですけど、るなが衣装制作やメイクの練習をするようになり、それを隣で観ているうちに、自分でもやってみたいと思うようになりました。ちょこちょこひとりでコスプレをしてイベントに出向くようになったんですけど、2人で本格的に“併せ”をしたのは、大学に入ってからですね。

――コスプレをするうえで、双子ならではの利点はありますか?

【雪野るな】2人で同じ衣装の写真を撮ったときに、見比べて違いを確認できるのはメリットかなと思っています。「顔の作りは同じはずなのに、ななの方がかわいく見えるのは何でだろう?」というところから、ウイッグや衣装、メイクの仕上がりなど、改善点を洗い出し、コスプレのクオリティアップができるのは、双子ならではのいいところかもしれないですね。ある意味、いちばん身近なところにいるライバルだと思っています。

【雪野なな】えー、そんなふうに思ってたの?(笑) 私は単純に、るなは細かいところまでよく気が付くので、「もっとこうした方が良いよ」とか教えてくれるのがメリットかなって思ってました(笑)。

――逆に、双子だからこそ苦労したことはありますか?

【雪野なな】レイヤー友だちがなかなかできないことですね。一緒にイベントに参加していると、それだけで寂しさが解消されてしまうので、自分から積極的に交流しに行かなくなっちゃうんですよね。他のレイヤーさんからすると「仲良しだから割って入れない」雰囲気に見えるそうで…。なので、最近は積極的に自分から他のレイヤーさんに話しかけるようにしています。

【雪野るな】ななが仲良くなったレイヤーさんに会わせてくれて、「ちゃんと挨拶しなさい」と、紹介してくれます(笑)。

――ななさんの方が、コミュニケーションを取るのが得意なんですね。

【雪野るな】衣装制作の話もそうですが、他のレイヤーさんがひとりでやっているところを、私たちは2人で補いながらやっているので。2人そろって一人前…みたいな感覚ですね。

■“双子”を活かした活動を模索中 似ているからこその悩みも

――仕事としてコスプレに取り組むようになった経緯を教えてください。

【雪野るな】2歳年上の姉が芸能事務所で事務をしていて、モデルの仕事を勧められたのがきっかけなんです。そこでいろんな仕事をしているうちに、公式コスプレイヤーという仕事があることを知って。「私もいつか公式レイヤーをやってみたいなぁ」と思っていたところ、なながとある企業の公式レイヤーを務めることになって、ものすごくびっくりしました。

【雪野なな】私はるなの事務所とは別のところで、イベントコンパニオンのアルバイトをしていたんですけど、そこでたまたま「公式コスプレイヤーをやってみませんか?」というお誘いをいただいて。それまで趣味で楽しんでいたコスプレに、仕事として関われることが嬉しくて、ふたつ返事で引き受けさせていただいたんです。実際に参加してみると、コンパニオンとはまた違う大変さがありましたが、それ以上に楽しいと感じるところが多くて。そこから「もっと本格的に、仕事としてコスプレに取り組みたい!」と思うようになったんです。

【雪野るな】それで姉に相談したら、「だったら双子のコスプレイヤーとして売り出すべき!」と言われて。そこから“双子”であることを前面に出して、いろんなコスプレに挑戦するようになった…というわけです。

――たしかに“双子のコスプレイヤー”はインパクトがありますね。

【雪野るな】双子キャラではないんですけど、昨年の『コミックマーケット96』で、ななが『天気の子』の天野陽菜、私が『君の名は。』の宮水三葉のコスプレで併せをしたところ、新海誠監督や、RADWIMPSの野田洋次郎さんも写真をチェックしてくださって、多くの反応をいただきました。双子を活かしたコスプレが出来たなって思っています。

【雪野なな】ただ、大勢の方に注目していただけるのは嬉しいんですけど、その期待に応えられる自信がまだなくて…。フォロワー数をもっと増やそうとか、そういうことには躍起にならず、これからも自分たちのペースで活動を続けていきたいと考えています。

――ちなみにこれまでに、一緒に公式コスプレイヤーの仕事をする機会はありましたか?

【雪野なな】実はまだないんです。公式案件だと似た雰囲気のキャラを2人…ということはほとんどないですし、基本的な顔の作りが同じ私たちは、どちらか片方しか選ばれないパターンが圧倒的に多いんです。

【雪野るな】かわいい系ときれい系のキャラクターで、顔の作りが一緒だったら違和感がありますしね。

――貴重なお話、ありがとうございます。それでは最後に、おふたりの将来の目標を教えてください。

【雪野るな】やはり双子キャラで公式コスプレをやってみたい…というのが、ひとつの目標ですね。他にも、同じキャラクターの別バージョンのコスプレを併せでやるなど、私たちだからこそできる表現でコスプレを追求していきたいですね。

【雪野なな】テレビ番組にコスプレイヤーが出演したり、ハロウィンイベントが全国的に盛り上がったりと、ここ数年で、コスプレを取り巻く環境は大きく変わってきましたが、それでもまだ、“コスプレ=特殊な趣味”という考えは根強く残っているように感じます。でも、コスプレって本当に楽しいものなので、そうした偏見を少しでも払拭できるよう、これからも活動を続けて、コスプレの魅力を大勢の方に伝えていきたいと考えています。

【雪野るな】私はすぐに「仕事だからしっかりしないと!」と考えて、頭がいっぱいになってしまうんですけど、ななはいい感じに緩くて、いつでも楽しそうにしているので、2人でいるとちょうどバランスがいいんですよ。これからも一緒に、コスプレ活動を楽しんでいきたいです。

取材・文=ソムタム田井