天海祐希ドラマで“ド直球路線”にシフトした日テレの勝算

 地上波GP(ゴールデン・プライム)帯の連ドラ“秋の陣”もクライマックス。視聴率レースでは、米倉涼子(44)主演の「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系木曜夜9時~)が平均18%台をキープし、独走している。

「視聴率だけを見れば、今期も“テレ朝が強い”傾向は変わりませんでしたが、各局のドラマへの姿勢が感じられて面白かった。中でも、日本テレビの“攻めの姿勢”が顕著でしたね」と語るのは、テレビコラムニストの亀井徳明氏だ。

「ドクターX」のように定番化したシリーズものや、漫画や小説などの原作ものが多い中、日テレ系は水曜夜10時~の「同期のサクラ」、土曜夜10時~の「俺の話は長い」、日曜夜10時30分~の「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」と、3枠すべてオリジナル脚本。

「それだけでなく、それぞれ1話で1年経過、1枠に2話立て、過去の同枠での作品世界とリンクさせるなど、形式も多彩です。決して斬新というわけでもないのですが、明らかに昨今のドラマとは一線を画しています。視聴率と作品評価と営業成績が必ずしも一致しない今、視聴率やネットの評判に左右されずに連ドラ枠でできることを模索しているように感じます」(亀井徳明氏)

 そんな“変化球勝負”ながら、「数字」も「評判」も確保しているのが「同期のサクラ」だ。

「回を追うごとに数字を伸ばし、平均10%台。『ドクターX』と、それに続くキムタク主演の『グランメゾン東京』(TBS系日曜夜9時~)を追っています。“変なキャラ”と“感動のツボ”に手だれた遊川和彦氏の脚本に、リアルタイム視聴者も気持ち良くハマれたということでしょうね」(テレビ誌ライター)

 3枠とも変化球で勝負し、1枠は視聴率でも成功した日テレ。このまま変化球で押し通すのかと思いきや、来期は土曜夜10時枠で数字を取りにいくつもりらしい。天海祐希(52)主演の医療ドラマ「トップナイフ―天才脳外科医の条件―」がそれ。

「脚本はフジテレビ系の『コード・ブルー』など医療ドラマにたけた林宏司氏。しかも林氏はフジの刑事ドラマ『BOSS』でも天海とタッグを組んでいます」(前出のテレビ誌ライター)

 まさに“ド直球”勝負だ。

「白衣ものがリアルタイム視聴者層には受け入れられやすいのは間違いないですが、リアタイ視聴者層には爽快感と感動と分かりやすさ、非リアタイ視聴者層には展開を予測する楽しみを良いバランスで出せれば数字も評価もついてくるはず。ただ、数字にこだわるならば、最近のこの枠を変化球好きな世代向けととらえて離れたシルバー世代に訴えるための番宣は必須ですね」(亀井徳明氏)

 今期の変化球の行く末も気になるが、果たして来期は……。