就職・結婚・出産…夢や人間関係すらあきらめた「七放世代」の深すぎる絶望

引用元:BuzzFeed Japan
就職・結婚・出産…夢や人間関係すらあきらめた「七放世代」の深すぎる絶望

フランスのカンヌ映画祭で最高賞のパルムドール、ゴールデングローブ賞では外国語映画賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』。外国語映画でありながらアメリカで異例のヒットとなっており、アカデミー賞最有力作品との呼び声も高い。日本では12月27日から全国公開を前に先行上映がスタート、劇場は公開を待ちわびていた人で溢れた。話題作に込められたメッセージを、ポン・ジュノ監督とソン・ガンホに聞いた。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】

就職することが困難な社会で

「半地下」と呼ばれる居住スペースに暮らす全員失業中の4人家族。この家でもっとも高い場所にあるのはトイレだ。Wi-Fiの契約はない。必死に他人のWi-Fiの電波をキャッチしようとスマホを高く掲げるシーンから、映画は幕を開ける。

キム一家の長男・ギウは4度大学受験に失敗し、再びチャレンジするべく勉強を続けている。妹のギジョンも貧しさゆえに予備校に通うことができず、希望していた美大への進学は叶わない。 就職・結婚・出産…夢や人間関係すらあきらめた「七放世代」の深すぎる絶望 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED ギウが裕福なパク社長一家の家庭教師をはじめるところから、『パラサイト 半地下の家族』の物語は思わぬ方向へと舵を切る。

コメディータッチで進む映画のいたるところに、散りばめられた韓国社会の今。そこからは、苛烈な格差社会が顔をのぞかせる。

韓国は緊縮財政の末に、これまでにないレベルで仕事に就くことが困難な状況に陥っている。

有名大学を出ても、就職できるかどうかはわからない。安定を求めて公務員試験を受ける大卒者が増加したことで、これまで公務員に就職していた高卒者の就職事情も悪化している。

有名大学に進学するためには有名な高校に入学することが、有名な高校に進学するためには有名な中学に入学することが近道とされている。

有名中学のある学区へ引っ越しをする家庭も少なくない。 就職・結婚・出産…夢や人間関係すらあきらめた「七放世代」の深すぎる絶望 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED 幼い頃からはじまっている格差社会を生き抜くための競争。レールを外れたら、もう後には戻れない。

だが、この映画で描かれていることは決して韓国だけの問題ではないと主演のソン・ガンホは語る。「日本やアメリカ、私たちが生きている地球上すべての物語」だ、と。