織田裕二が明かす“来るものは拒まずの姿勢”を貫くスターの仕事観

引用元:オリコン
織田裕二が明かす“来るものは拒まずの姿勢”を貫くスターの仕事観

 俳優として常にトップを走り続けてきた織田裕二。これまでに多くの名作、ヒット作で、正義感と人情、そして揺るぎない信念に満ちた役柄を演じてきた。そんな織田だが、一方ではコミカルな一面をのぞかせるCMや、スポーツ番組MCなど俳優以外の活動にも精力的に取り組んでいる。スターでありながら、ニュートラルな姿勢で幅広い仕事を楽しんでいるかのような織田の「働き方」、現在の境地へ至るまでの心境について聞いた。

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■初めての主演のときに知った“トップの孤独”

──前作『監査役 野崎修平』を経て、2年ぶりに『連続ドラマW 頭取 野崎修平』(WOWOW)の主演に臨みました。本作への想いをお聞かせください。
織田裕二 シリーズものと言いますか、何年か空けて同じ人物を演じることはこれまでにもあったけど、前作とまったく真逆の立ち位置を演じたことはなかったので、おもしろかったですね。前作では、身内をチェックする監査役として下から上へ、頭取に対してもズバズバと問題を突き上げていったわけですが、今回は少なくとも銀行内部には自分より下の人間はいない。「頭取は孤独なんだ」なんていうセリフも出てきますけど、前作との違いを楽しんで演じました。

──“トップの孤独”は、常に座長として現場を引っ張ってきた織田さんの俳優業とも共通するところはありましたか?
織田裕二 それは、初めて主演をやったときに知りました(苦笑)。ドラマや映画作りの現場において、主演俳優はある意味で社長のようなトップの立場であって、ドラマであれば視聴率が取れなければ、映画であれば観客動員が伸びなければ、責任を負うのは当然なんです。銀行として進む方向を間違えて社員たちの生活を守れなければ、頭取が責任を負うのと同じ。だから、下の人間たちも「こいつはちゃんと舵取りができるのか?」という目で見てくるわけですよね。だけどあの「頭取は孤独」というセリフは、チームの大切さに改めて気づくための伏線なんです。トップに立つと、どうしても自分がなんとかしなければと考えがちだけど、1人でできる仕事なんてこの世にほとんどないんですから。

──取引先の会社員に「あなたのようなトップの下で働きたかった」と言われる場面もありますが、トップとしての野崎修平の器量はどこにあると思いますか?
織田裕二 彼は二世代くらい下の若手をすごく大切にしているんです。下町の銀行の支店長だった頃から一貫して追い求めてきた「真に社会に貢献できる銀行」という理想を、頭取という立場になって実現しようとするわけだけど、社員のなかには利益ばかり考えている人間もいる。たとえ不正をしてでも……。とくにある程度、年齢がいってしまうとそこのマインドを変えるのは難しい。だけど、若手は上司や社風によってどんな色にも染まる可能性に満ちているわけで、そんな彼らに野崎は希望を見出しているんです。