タランティーノ監督の60年代への愛を探る!『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』元ネタ案内

引用元:Movie Walker
タランティーノ監督の60年代への愛を探る!『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』元ネタ案内

米ロサンゼルス現地時間1月5日に行われた第77回ゴールデン・グローブ賞で、ブラッド・ピットの助演男優賞など最多3冠に輝いた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブルーレイ&DVDが1月10日(金)にリリース!

【写真を見る】ディカプリオ、ブラピ、アル・パチーノの豪華スリーショットが実現!

映画を愛し、映画に愛されるクエンティン・タランティーノ監督が、女優シャロン・テートが殺害された事件をモチーフに、時代が大きく揺れ動いた1969年のハリウッドを舞台につくり上げた本作。レオナルド・ディカプリオが演じる落ち目の俳優リックはバート・レイノルズ、ブラッド・ピットが扮するクリフはレイノルズの専属スタントマンだったハル・ニーダムを彷彿とさせるなど、随所に監督の60年代エンタメ界への憧憬が込められている。そこで知っていればさらに『ワンハリ』を楽しめる、劇中にちりばめられた60年代ネタをテーマ別にピックアップしてみた!

 

■ 【映画&ドラマ】リックを口説くプロデューサーが当時のドラマを例に出す

映画プロデューサーのシュワーズ(アル・パチーノ)とリックの会話で出てくるドラマは、ほぼ実在の作品。『対決ランサー牧場』(68~70)への出演を控えるリックにイタリア映画界進出の道もあるとシュワーズは語るが、これはマカロニ・ウエスタン出演から躍進したクリント・イーストウッドを意識したものだ。また、リックが『FBI アメリカ連警察』(65~74)に出演した回をクリフと観るシーンも。

 

■ 【映画&ドラマ】監督の考える悪役のイメージは『革命児サパタ』!?

『対決ランサー牧場』のサム・ワナメイカー監督(ニコラス・ハモンド)がリックが演じる役のイメージとして引用する『革命児サパタ』(52)や『爆走!ヘルズ・エンジェルズ』(67)は西部劇ではない。新風を吹かせようと躍起になる監督の姿に、黄金期が終わろうとしている60年代末の西部劇の状況が現れており、『バークレー牧場』(65~69)を古臭い西部劇として挙げる場面も見られる。

 

■ 【映画&ドラマ】シャロン・テートが自身の出演作を鑑賞

マーゴット・ロビー演じるシャロンが、映画館で自分が出演する『サイレンサー第4弾 破壊部隊』(68)を鑑賞する際、映画館スタッフに『哀愁の花びら』(67)に出ていた女優だと気付かれる。劇中のスクリーンに映っているのは本物のシャロン・テートで、彼女の在りし日の輝きを垣間見ることができる。

■ 【映画&ドラマ】『大脱走』出演のチャンスがあったリック

リックは『大脱走』(63)でスティーヴ・マックィーンが演じたヒルツ役の候補のひとりだったことを、『対決ランサー牧場』の撮影現場で共演者のジェームズ・ステイシー(ティモシー・オリファント)に語る。リックが“マックィーンになれなかった男”であることを印象づけているシーンだ。

 

■ 【人物】実在のスターや関係者たちが物語を彩る

劇中で、ブルース・リー(マイク・モー)がシャロンに武術を教えていたのは史実通り。リーは、彼女の友人のヘア・スタイリスト、ジェイ・セブリング(エミール・ハーシュ)のおかげでドラマ『グリーン・ホーネット』(66~67)に出演できたという経緯もある。また、タランティーノはリックと組むことになるイタリア人監督セルジオ・コルブッチの大ファンだ。そのほかにもシャロンの夫だったロマン・ポランスキー監督など、実在の人物が多数登場している。

 

■ 【音楽】ヒット曲はただの雰囲気づくりにあらず

ポランスキーとシャロンのドライブ中にかかるディープ・パープルの『ハッシュ』や、イタリアから帰国したリックとクリフのバックで流れるザ・ローリング・ストーンズの『アウト・オブ・タイム』など60年代のヒット曲が満載。「アウト・オブ・タイム」=季節外れは、時代遅れの役者となったリックのことを表しているようだ。

 

■ 【建物】ロケ地は当時の映画館やレストラン

8歳からLAで育ったタランティーノが、1969年の面影を残すロケーションをピックアップ。シャロンが最後に食事をしたメキシカン・レストラン、エル・コヨーテでは実際に彼女が座った席と同じ場所で撮影。リックらが入るレストランやシャロンが訪れた劇場も当時から残る建物で、リアルな60年代の空気を伝える。

(Movie Walker・文/村山章【DVD&動画配信でーた】)