「頭取 野崎修平」織田裕二 不条理と戦う 勇気届け

引用元:産経新聞
「頭取 野崎修平」織田裕二 不条理と戦う 勇気届け

 周良貨(しゅうりょうか)原作、能田茂(のだしげる)作画による人気経済漫画をもとにした「連続ドラマW 頭取 野崎修平」(全5話)がWOWOWで19日から放送される。昨年、同局で放送された「連続ドラマW 監査役 野崎修平」の続編で、銀行の不正を暴くべく奮闘した織田裕二演じる野崎が、頭取に出世して戻ってくる。織田は「同じ人物なのに役職が違うと見える景色が全く違う。コンプライアンス(法令順守)が重視される現代に合った物語で、非常にやりがいがある」と語る。(石井那納子)

 WOWOWのドラマはオリジナル作品も豊富な一方、池井戸潤、清武英利、横山秀夫ら人気作家の物語を原作とする社会派作品に定評がある。原作を忠実に再現することに重きを置いた骨太な脚本と演出で、出演者のファンだけでなく、原作者のファンも視聴者に取り込んできた。

 前作の「監査役-」は、バブル経済が崩壊し“金融ビッグバン”に銀行業界が直面した平成10年前後が舞台。「おおぞら銀行」で正義を貫くため奮闘する野崎の雄姿を描いた。まさにWOWOWの王道ともいえるつくりで、織田は「嫌な登場人物もいて、前回は、家に帰ったら必ずビールを飲んで毒を出さないと眠れないような毎日だった」と明かす。「これが新橋で一杯やらずには帰れないサラリーマンの気分かと実感した。それはそれで、貴重な体験でしたけど」と笑う。

 今作は、おおぞら銀行国有化から3年後が舞台。産業再生機構に勤め先を変え、多くの企業再建に従事して経験を積んだ野崎が、その才覚を買われ頭取として異例の復帰を果たす。

 これまで多数の映画やドラマに出演し、警察官や弁護士などさまざまな職業を演じてきた織田だが、銀行の頭取役は初めてだという。「組織のトップではあるけれど、野崎は不条理と戦う男。市井に生きる普通の男が勇気を出して行動することによって、周囲の一人一人を変え、やがて銀行をも変える力になっていくメッセージを伝えたい」

 それぞれの立場でおおぞら銀行を思うからこそ、意見の違う同僚との対立、野崎を失脚させるためさまざまな策略も企てられるなど、社会派ドラマとしての見どころも盛りだくさん。松嶋菜々子ら、前作でも活躍していた主要人物たちが、今作では野崎とどう絡み合っていくのか、時を経て変化した関係性にも注目だ。

 「中には、頭取のうまみを手放せない人も登場して、すごく人間くささにあふれるストーリーになっている。すてきなキャストたちが演じるさまざまな人の生き方を、信頼するスタッフとともにつくりあげます」

 ドラマは19日スタート。WOWOWプライムで毎週日曜午後10時から。全5話で第1話は無料放送する。

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 <おだ・ゆうじ>

 昭和42年生まれ、神奈川県出身。62年、映画「湘南爆走族」で主演デビュー。フジテレビ系のドラマ「東京ラブストーリー」(平成3年)は社会現象化し、“月9”という言葉が定着する。「踊る大捜査線」シリーズなど代表作多数。歌手、キャスターとしても活躍している。