上方落語の大御所、桂文珍 関東で存在感 2月以降相次ぎ独演会

引用元:産経新聞

 上方落語の大御所、桂(かつら)文珍(ぶんちん)(71)が関東でも存在感を増している。上方落語では、かつて人間国宝の桂米朝(べいちょう)や桂枝雀(しじゃく)(ともに故人)らが全国区の人気を誇ったが、今や文珍が代表格のひとり。2月以降、関東での独演会が続く。

 同月9日に、川崎市で行う独演会は、平成18年以降、今年で15回(年)目となる。会場は市民ホール、主催者は脱サラ組の個人興行主。地域のファンに支持されて、この時期の恒例として定着した。

 テレビのバラエティー番組で人気を博した時期もあったが、現在はほぼ落語一筋。「関東で、最初はお客さんが入らず、失意のどん底も味わいました。上方落語をそのまま演じても、関東ではアクが強すぎたり、しつこいと感じられたりしてしまう。工夫を重ねて、だんだんとそのバランス感を会得できたように思いますね」

 同月末からは、東京の落語家でも例がないという、国立劇場大劇場で20日間独演会を開く。延べ総席数は3万超だ。「(古典落語では)上方らしいネタ(『地獄八景(じごくはっけい)亡者戯(もうじゃのたわむれ)』『算段(さんだん)の平兵衛(へいべえ)』」など)をやります。空前絶後(の公演)といわれるが、“空前絶後の失敗”に終わらないようにしないと」と苦笑する。

 幅広い持ちネタには時事問題を取り入れた新作も多い。古希を迎え上方の大名跡(みょうせき)の襲名話も噂に上るが、「どうですかねえ。『文珍』にも愛着があるし(襲名すれば)新作落語のばかばかしい噺(はなし)はできなくなるかも」と笑いを誘った。

 川崎市の桂文珍独演会は2月9日午後2時、同市麻生(あさお)市民館大ホール。問い合わせは、044・989・8548(午前10時~午後5時)。(喜多由浩)