押しだしましょう子さん NHKや地方局を転々…お笑いの今が一番地獄

押しだしましょう子さん NHKや地方局を転々…お笑いの今が一番地獄

【役者・芸人「貧乏物語」】

押しだしましょう子さん(35)

 2年前に「女芸人NO.1決定戦 THE W」(日本テレビ系)にアマチュアとして出場し、決勝に進出した押しだしましょう子さん(35)。芸人のような名前だが、実はアナウンサーで各地でキャスターなどをつとめてきた。今が一番貧乏らしい。

  ◇  ◇  ◇

 小学生の時からアナウンサーになりたくて、全国のアナウンサーの試験を受けていましたが、まったく受からず、大学院の時にやっと受かったのが島根県のNHKでした。

 契約キャスターなので正社員と比べるとボーナスもなく、固定給だと15万円くらいでしたが、番組作りで残業が多くて30万円くらいはいったと思います。今思うと、NHKの契約が自分の人生で一番お金がよかった。

 でも、テレビでしゃべるよりネタを探して取材をする記者とディレクターの仕事が多いし、華やかな民放に憧れていたので、4年間勤めた頃にTBS系列の長崎の局に応募し、中途で受かり、移りました。しかも、長崎では朝の情報番組のMCになれたのでしゃべる仕事ができて、百八十度違う世界でした!

 ただ、全然うまくできなくて……。ロケの生中継に行く日もあったのですが、広告を出すスーパーや百貨店の仕事なのに言わなきゃいけない宣伝の情報を忘れて、「カニカニカニ~!」とひたすら言い続けたりして。視聴者にはウケても上層部的にはダメで、パブリシティーものはやらせてもらえなくなりました。

 月給は15万円くらいでしたけど、国保や年金とかいろいろ払い、しかも島根より家賃が高くて経済的には火の車。親から家賃を借りた時に「そんなの仕事じゃなくて道楽だ」と言われました。

 1年でクビになり、地元の富山に帰り、ケーブルテレビのキャスターやキャバ嬢とかをやっていました。友達が「アナウンサーのスキルはないけど、中継を見てると面白いから芸人に向いてる。『R―1ぐらんぷり』に出てみなよ」と言ってくれて、1度出てみたら1回戦で負けちゃって。

■鳥取市役所では広報番組キャスターも

 その後、鳥取市役所でキャスターを募集していたので、入りました。仕事はケーブルテレビでの市の広報番組のキャスターと企画と取材。市関連の行事の司会もやりました。なぜかその頃から司会で噛まなくなったんですよ! 長崎の頃は自分の名前でさえ噛んでいたのに、1万人入る会場での大きな式典で、全国から来た議員や偉い人の役職と名前を40人紹介した時も、1回も噛まなかった! 今までの経験のおかげなのか、テレビでも別人のように噛まなくなりました。

 その頃には好きな女子相撲を始めていて、ある高校で練習していたので相撲と鳥取を取り入れたネタを作り、2017年に「R―1」に再挑戦しました。3回戦まで行けて、その年の年末に始まった「女芸人NO.1決定戦 THE W」に出たら決勝に行けてビックリ。初めて人から認めてもらえたと思いました。

 それが勘違いの始まりなのか、今年、鳥取市役所のキャスターを任期満了し、芸能プロに所属しましたが、今は地獄です(笑い)。バイトしながらの生活が大変で毎日、泣いてます。マネジャーには「お笑いだけじゃ難しいからアナウンサーもやるけど、お笑いで知名度を上げないとアナウンサーの仕事もないよ」と言われてます。これからはアナウンサーとして足りないところをお笑いで補って頑張ります!

「THE W」に出てから相撲のイベントや、白鵬も来る鳥取の大きなパーティーの司会に呼んでいただけたのが一番うれしいです。

 ちなみに、芸名の由来は相撲の「押しだし」!

 いろんなネタを押しだしていきます!

(聞き手=松野大介)

▽本名・永井祥子 1984年11月、富山県生まれ。NHK松江放送局、長崎放送契約リポーター、鳥取市役所広報室キャスターなどを経て今年、芸能プロダクションに所属。2017年、「女芸人NO.1決定戦 THE W」にアマチュアとして決勝に進出し、話題に。