『マルコと銀河竜』体験版プレイレポ!体験版なのに100枚以上のCGカットを使う銀河級ドタバタADV

引用元:IGN JAPAN
『マルコと銀河竜』体験版プレイレポ!体験版なのに100枚以上のCGカットを使う銀河級ドタバタADV

1000枚級のCG・スチルを用いた超大作ADVと豪語する『マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~』の体験版が、SteamやGoogleドライブなどで2019年の年末に配信された。発表時にストーリーやキャラクター設定などの情報が多く公開されるも、そのゲームジャンルは「カートゥーンアドベンチャーゲーム」という聞き慣れないジャンルになっていた。
通常、同ジャンルの大作と呼ばれる作品でもCG・スチルは100~200枚といった規模に収まるものだが、本作は規格外のボリュームで制作されている。ジャンル名どおり、カートゥーンスタイルによるアニメーションも挿入されるというので、気になる要素が満載の作品だった。体験版で判明したゲームスタイルは、イラスト主体のオーソドックスなアドベンチャーゲームに変わりない。しかし体験版だけで、軽く100枚を超える膨大なCG・スチルを使い、規格外のパワープレイによって実現した新しいエンターテイメントを感じさせる作品となっていた。
動画と静止画を力技でいいとこ取り!モンスター級のアドベンチャーゲーム
まず本作で注目すべきポイントは、CGを何気なく大量に使って表現する演出だ。通常アドベンチャーゲームでは、強調したい限られたシーンにおいて1~3枚のイラストを使う程度だが、本作では5枚10枚と、1分にも満たない何気ないワンシーンにおても惜しげも無くCGを切り替えながら物語を描いていく。

「マルコと銀河竜」画像・動画ギャラリー

それはまるでアニメーションのカット割りのような演出となり、映像作品がもつ流れるようなスピード感を静止画で生み出している。こうした演出は静止画イラストが最も得意としている心理描写にも良い影響を与えている。空気か弾けるような緊迫したシーンはより力強く表現できるようになり、一転してパステル調の柔らかい風合いで描くホッコリさせるシーンの切り替えによる緩急がより強調される。
さすがに使われるシーンは限定されるが、カートゥーン風のアニメーションも効果的に挿入される。今回確認できたシーンのひとつでは、電子の渦に飲み込むようにビビッドな8Bitゲームサウンドが流れ、世界設定も改変されているように見えた。アラレちゃんが地球割りを行うように、物理の法則などは無視されるようなギャグスタイルになり、キャラクターが生き生きと動き回る。しかもひとつひとつのクオリティが高くボリュームもあるので、想像以上のゲーム規模に改めて驚かされた。

そうして語られるストーリーの基本は、記憶喪失のマルコが母親をひと目見るため、相棒のアルコと共に地球にやってきたハートフルストーリー。しかし地球に来る途中に手に入れていた、「トカゲ石」を巡り繰り広げられる混沌としたドタバタ劇と言った方が良いだろう。全体の流れ自体がアニメのように描かれていくのだが、自分のペースで楽しめる静的なゲームの良さはもちろんそのままだ。
映像作品では、ほぼノンストップで作者のペースで物語が進行するため、物語の展開について行くことが大変なことがある。書籍などもそうだが、静的な作品であれば自分のペースで物語を理解したり、物語の展開に爆笑しながら思う存分一呼吸置くことができる。いわば本作は、映像作品と静的な作品のいいとこ取りをしたハイブリッド作品と言えるだろう。

こうした小気味よいテンポや緩急を感じさせるゲーム設計は、コメディとシリアスが入り交じり、ノリと勢いで急展開するストーリーと実にマッチしている。本作を制作するHARUKAZEの作品でもあった作風で、前作『ノラと皇女と野良猫ハート』(以下、ノラとと)シリーズもかなり個性的でぶっ飛んでいた。HARUKAZE作品のテキストを書いてきたのは、代表でもある「はと」(以下、Hatoとする)だ。前作と同様に本作でも主題歌の歌詞も担当し、「ノラとと」ではTVアニメ版の企画・脚本も努めたマルチタレントだ。

Hatoのテキストは、人を感動させる優しい物語かと思えば、突如プレイヤーの余韻を振りほどいて笑い話へと転換することもしばしばだ 。 しかも勢いに任せて呼吸困難に陥るほど笑わせてくるため、せっかくのいい話が台無しになることもある…… 。 「ノラとと」では「死生観」という深いテーマを元に、慈愛に満ちた家族愛なども丁寧に描いていたが、結果的に印象深いのはコメディーパートだったりする 。