連ドラ1クールで1000万円でも…脚本家のギャラには泣きどころが多い

連ドラ1クールで1000万円でも…脚本家のギャラには泣きどころが多い

【テレビが10倍面白くなるコラム】#27

 この冬のゴールデン・プライムタイムの連続ドラマは、医者ものと刑事・探偵ものがそれぞれ6本で計12本も並び、小説やコミックの原作ものも7本と多い。

「近ごろは重厚な長編より1話完結のスタイルが人気ですが、病院や警察を舞台にしたドラマは、毎回違う病人や犯罪を登場させれば新しい展開ができるので、作りやすいんです。
また、原作ものが多いといっても、かつてのように名作や評判作品をそっくり映像化するのではなく、主人公と物語の設定だけをいただいて、新しいエピソードを盛り込み、話を膨らませる“原案”スタイルが増えています。いずれも、視聴者を飽きさせないつかみのうまさ、スピード感のある物語が求められ、脚本家の力量にかかっています」(番組制作会社幹部)

 その脚本家たちは、テレビドラマでどのくらい稼ぐのだろう。日本脚本家連盟は、NHKとはテレビの全国放送30分における最低脚本料は19万円で合意している。もちろん、夜の連続ドラマを依頼されるような人気脚本家の場合は、これよりずっと高い。平均すると1話(45分)60万~100万円。1クール(9~11話)なら600万~1000万円である。

 かなりの高収入のように見えるが、1本書くためには、最低でも準備期間が3カ月以上いるし、準備稿から決定稿になるまでには、プロデューサーと何度も打ち合わせをして、ときには主役俳優から「こんなキャラクターじゃいやだ」と注文がついたりして、二度、三度と書き直さなければならない。筆の速い脚本家でも、1年に引き受けられるのはせいぜい2本だという。

 また、NHKの大河ドラマは大御所がひとりで全編を通して書くが、民放のドラマは1クールを何人かで分担することも多い。

「番組の最後に『脚本××』と名前の出るベテランがリーダーとなって、その下に2、3人の若手・中堅が付きます。リーダーが全体の流れを決めて、それに合わせて1話ずつ分担します。1話完結だから可能なのですが、若手・中堅は1クールで2、3本分、数十万円しか入ってきません」(テレビ誌編集デスク)

 売れっ子の脚本家でもテレビからの収入は年間3000万円、中堅で1500万円、新人は数百万円程度といったところか。また、小説家や作詞・作曲家は、ひとつヒットを飛ばせば印税が入り続けるが、脚本家はどんなに高視聴率のドラマを書き上げても、ギャラは基本的には1回きり(再放送1回分込み契約)というのも泣きどころである。

(コラムニスト・海原かみな)