30年の時をこえる『アフターバーナーII』の魅力。今なお稼働する貴重な筺体も

引用元:マグミクス
30年の時をこえる『アフターバーナーII』の魅力。今なお稼働する貴重な筺体も

 1987年に登場した『アフターバーナーII』は、近未来的な大型筐体の存在感や映画『トップガン』の人気にも影響されて爆発的な人気を獲得し、多くの家庭用ゲーム機やパソコンに移植されました。当時から現在まで『アフターバーナーII』をプレイし続けているライターの早川清一朗さんが、同ゲームの魅力について語ります。

【画像】筺体と同じくらい希少? 『アフターバーナーII』歴代の移植ソフトパッケージ(5枚)

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 無い、無い、どこにも無い。

 2019年のある日、筆者は仕事のついでに立ち寄った秋葉原のゲームセンターで、目を皿のようにして『アフターバーナーII』を探し求めていました。最終的には店員さんに確認し、撤去されたことを知りました。

 つい先日までプレイしていたタイトルが撤去されるのは、ゲームセンターでは珍しいことではありません。特に『アフターバーナーII』のようなメジャータイトルはさまざまな家庭用ゲーム機に移植されているので、遊ぶだけなら不自由することはありません。

 それでも筆者は、ゲームセンターの喧騒の中でプレイする『アフターバーナーII』が大好きだったのです。

『アフターバーナーII』は1987年にセガ(現:セガ・インタラクティブ)が発売した体感シューティングゲームです。デザイナーは後に『バーチャファイター』シリーズや『シェンムー』シリーズを手がける鈴木裕氏。もともとは『アフターバーナー』として発売されましたが後にスロットルレバーの追加やゲームバランスの修正を行い、「II」とナンバリングされ完成版として再発売されています。

 このタイトルの最大の特徴は、さまざまな種類の筐体にあるでしょう。座席が前後左右に揺れる「ダブルクレイドルタイプ」、左右に揺れる「クレイドルタイプ」、立ってプレイする「アップライトタイプ」、他にも通常の筐体風のものや、1985年にセガから発売されたシューティングゲーム『スペースハリアー』の筐体を流用したものなど、多くの筐体が約30年前からゲームセンターやゲームコーナーをにぎわせていました。

 しかしいずれの筐体でも、軽快なBGMに乗りながら、最初は点にしか見えない敵機をロックオンし、ミサイルを放って撃墜する爽快感と、撃墜し損ねて接近してくる敵機から放たれるミサイルをかわすときの緊張感は同じでした。

 背後から現れた追跡機は一旦速度を上げ、その後急減速して背後を取ってバルカンで撃墜、敵のミサイルにロックオンされればアフターバーナー(編集部注:作中では、スロットル操作で爆発的な推力を得る機能)を吹かして逃げ切る。この繰り返しに没入している間はいつでも、『アフターバーナーII』と出会った頃の少年時代に戻れる気がしていました。