亀田誠治がノックアウトされた、宇多田ヒカルや米津玄師のストリングス…手がけた若手作曲家とは?

引用元:J-WAVE NEWS
亀田誠治がノックアウトされた、宇多田ヒカルや米津玄師のストリングス…手がけた若手作曲家とは?

J-WAVEで放送中の番組『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。12月22日(日)のオンエアでは音楽プロデューサーの亀田誠治がゲスト出演して、レコメンドするアーティストについて語った。

【動画】Ensemble FOVEの楽曲を聴く

トップアーティストの楽曲に取り入れられたストリングスのサウンド

亀田がおすすめするのは、宇多田ヒカル『少年時代』、米津玄師『馬と鹿』のストリングスアレンジを務めた東京藝術大学出身の若手作曲家、坂東祐大が率いる音楽集団「Ensemble FOVE」だ。亀田はこの2曲のストリングスアレンジにノックアウトされ、CDのクレジットから誰が担当したのかを調べたそうだ。

亀田:J-POPのなかでストリングスのアレンジというのは重要で、手前みそですが僕も得意としているところなんですが、この『少年時代』や『馬と鹿』を聴いたときに、クラシカルでアカデミックな感じは、僕らのような現場たたき上げのアレンジャー、プロデューサーでは出せないなと思いました。
クリス:いわゆるエデュケーション(教育)というか。
亀田:はい。そういう時代が来ているのではないかと思ったんです。J-POPのトップアーティストから信頼を得るオーケストラサウンドを作り上げているということが、28歳の板東さんの若い才能が令和の時代になって花開き、音楽シーンのなかに一石を投じているんじゃないのかと思いました。

Ensemble FOVEが「今っぽい」と感じさせる理由

Ensemble FOVEは、コアメンバーの10数名が大抵ストリングセクションとしてレコーディングに参加するが、ときには人数が50名ほどになり、オーケストラになることも。

亀田:トランスフォームするんですよ。これはすごい。なんでも板東さんは、サウンドトラックといった映画などにつける「劇伴」の作曲を若いときからなさっていて、レコーディングのときにセッションミュージシャンがやってきて、譜面を見ながら弾いていくというスタイルに違和感があったそうなんです。見ず知らずのセッションミュージシャンとやるよりは、気心の知れた自分の芸大の学友や、自分と同世代のトップクラシックミュージシャンと一緒にサウンドを作りあげようということで、このEnsemble FOVEという集団ができあがりました。この考え方がすごく「今」だなと思いました。今までの普通に行われていたレコーディングや、クリエーションとは全く違った角度でより高みを目指していくというのが、僕にとっては本当に新世代の時代がきたかなと。
クリス:的確な表現かはわかりませんが、バンド感覚みたいなものですか? 気心の知れた連中で「阿吽(あうん)の呼吸」みたいなものが確立されている。
亀田:そうだと思います。自分のバンドで自分たちの唯一無二のサウンドを作る。それがクラシックの分野からポップスの分野と交わり始めているというのが、めちゃくちゃワクワクするなと思っているんです。

亀田はここでEnsemble FOVEとヴァイオリニスト・尾池亜美によるアルバム『ZINGARO!!!』から『ツィゴイネルワイゼン』を紹介。『ZINGARO!!!』は、全曲にクラシックの名曲が散りばめられたアルバムだが、全曲にオリジナルのアレンジを施していていることが「極めて異例」だと解説した。

亀田:クラシックは作曲家の作ったオーケストレーションをいじっちゃいけないというのがあるのにも関わらず、彼らはそこに対して自分たちのアレンジを施している。
クリス:掟破りというか、型破りですね。
亀田:マスタリングまで全面的に音に関わっている。要するにクラシックというのはクラシック喫茶じゃないですけど、たとえば音源で聴くときもすごく大きくて高級なオーディオ装置を使ってコーヒーでも飲みながら聴くという時代ではなくて、この板東さんがいつもおっしゃっているのは「パソコンで聴かれたり、イヤホンで聴かれたりするクラシックがあるかもしれない。であるならば、自分は音の細部までこだわりたい」と。