むぎ

引用元:MusicVoice

 むぎ(猫)が4日、EP『ねっこほって e.p.』をリリースする。むぎ(猫)は、人間を楽しませるために歌い、踊り、楽器(主に木琴)を演奏する猫のミュージシャン。楽曲は全てむぎ(猫)が作詞作曲を手がけ、宅録で制作している。2017年に「FUJI ROCK FESTIVAL」に出演して話題を集め、今年3月にアルバム『君に会いに』でメジャーデビューした。今作『ねっこほって e.p.』は、Eテレの番組『ねこねこ日本史』のエンディングテーマ「ねっこほって」の他、むぎ(猫)流クリスマスソングの「クリスマスに何します?」、DJ みそしると MC ごはんとコラボした「ミラクルバウムクーヘンアドベンチャー」など、ラップありロックありの6曲を収録。むぎ(猫)の魅力が凝縮された作品。YouTuberデビューも果たしたむぎ(猫)に、作品のことを中心に様々なことを聞いた。
【取材・撮影=榑林史章】


むぎ(猫)音楽の楽しさを伝える“猫”のミュージシャンに迫る:インタビュー


『ねっこほって e.p.』

曲はお風呂で浮かぶ

――『ねっこほって e.p.』の表題曲「ねっこほって」は、NHK Eテレの番組『ねこねこ日本史』のエンディングテーマということで。

かねてから「むぎ(猫)にはEテレが合っている」と、いろんな方から言ってもらっていて。自分でもEテレビ番組のテーマソングを作ってみたいと思っていたので、すごく嬉しいです。SNSでも、「うちの子が観ている番組のテーマソングに、むぎ(猫)ちゃんの曲が選ばれて嬉しい。オンエアが楽しみ」など、たくさんの反響をいただきました。

――日本史の偉人が猫のキャラクターになって登場しますが、むぎ(猫)さんは、日本史が得意ですか?

猫ですから、学校に行っていませんし習ったこともないのですが、Eテレ『ねこねの日本史』のお話をいただいてから観るようになって、日本の歴史はこんなに面白くてたくさん学ぶことがあるんだと気づくことができました。同時に自分のルーツにも興味が沸いて、それを調べることの楽しさもあると思いましたね。そんなところから、ルーツ=根っこを掘って調べてみようという歌にしました。

――「ねっこ」と「猫」もかかっていて。

猫という言葉は、入れたいと思っていたんです。よく考えてみれば、猫はネットスラングで「ねっこ」と呼ばれることもあるなと気づいて。しかも家系図って下に広がっていて、木の根っこのようにも見えますよね。

――子どもの好奇心を後押ししてくれる歌詞ですね。

むぎ(猫)は言葉遊びも好きで、歌詞も韻を踏んでいて遊びが満載です。歌詞に<知らないことは知りたいこと>というフレーズが出てきます。分かることの心地よさ、得た知識が実になるということが、分かってもらえたら嬉しいなと思います。

――「ねっこほって」の曲作りは、どんな風に行ったのですか?

「ねっこほって」は、最初にサビを考えました。花を咲かせたいと思っている子どもたちに聴いて欲しいと思ったから、昔話にある『花咲かじいさん』をモチーフにして。『花咲かじいさん』で有名な「ここ掘れワンワン」というフレーズを、「ここ掘れニャンニャン」に替えるところから考えました。

――そうやってサビを作り、次にAメロ、Bメロと。

そうです。そういう流れで、最初は番組で流れるエンディングの長さの分だけ作って。それが出来てから、CDに収録されているフル尺のアレンジを作りました。

――メロディは、何か楽器を使いながら考えるんですか?

iPhoneのボイスメモで鼻歌で歌ったメロディを録音しておいて、後でそれを聴きながらキーボードで音を拾っていきます。

――じゃあいろんなところで曲が作れますね。

そうですね。よく思い浮かぶ場所は、お風呂です。お湯に浸かっている時は、なぜか分からないけどよく浮かびます。

――猫なのにお風呂好きなんですね。

水やお風呂が嫌いな子は多いですけど、むぎ(猫)は天国に行く前からお風呂が好きで、お風呂に入るといいアイデアがピンと浮かびます。

――じゃあカップリング曲の「クリスマスに何します?」も、お風呂で浮かんだんですか?

これはお風呂ではなくて(笑)。でも、「クリスマスに何します?」は、歌詞まで含めて2時間で出来たんです。

――速いですね。

Twitterを見ていたらある音楽が流れて来て、そのテンポ感がいいなと思って、そのテンポ感でリズムを打ち込んだんです。そうしたらそのリズムに合うメロディが、その場で浮かんだんです。そこで何となく、クリスマスの曲にしようかな~という感じで熱中していたら、気づいたら1曲出来ていました。「降りて来た」というのは、まさしくこういうことなのかな、と。それもあって、すごくお気に入りの曲です。

――クリスマスの曲にしようと思ったのも、降りて来たんですか?

いえ、それは、CDの発売日が12月4日で、クリスマスの時期なのでちょうどいいと思って(笑)。でもこの曲は、時期を問わず歌っても良いなと思っています。クリスマスとは言っていますけど、要は「特別な日」について歌ったものなので、そこをいろいろに置き替えて歌えるんじゃないかと。それに、決してクリスマスに媚びを売っている歌でもないし。だからクリスマスに限らず、それぞれの特別な日をみんなはどうやって過ごすの? でも特別な日は、特別なことをしなくても特別だよねということを歌っています。

――鈴の音が入っているところが、クリスマスっぽい。

そこだけ、クリスマスに媚びました(笑)。