10年後に出会う一打のために…多井隆晴が研究を続ける理由「麻雀の神様が100点だとしたら僕は5点」と思うから

引用元:AbemaTIMES
10年後に出会う一打のために…多井隆晴が研究を続ける理由「麻雀の神様が100点だとしたら僕は5点」と思うから

 研究者からアスリートまで、トップクラスで活躍する者に共通するのが、飽くなき探究心だ。急激には成長しないけれど、いずれ自分の血肉となる。明日の自分が今日の自分を越えるために努力を続けられるかどうかが、成功者とそうでない者を大きく分ける。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」のトップ選手、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)は「自分のことを否定して生きてきた」ことで強くなった。

 プロ麻雀界を知るファンからすれば、多井の名前を知らない者はいないほど。獲得したタイトル数は大小、数が知れない。7チーム、21選手で始まったMリーグにおいても、初年度に個人スコア1位に輝いたことで、「最速最強」の異名に偽りなしと、さらに示した。ところが自分の麻雀についての自己採点を聞くと70点、80点というようなものではなく、まるで別視点からの答えが出てきた。

 多井 僕は弱いと思っているんで。麻雀の神様が100点としたら、僕は5点ぐらい。人類全員がそんなもんじゃないですかね。5.1とか4.8とか、そのあたりで競っていて、その中で僕は最強クラスかもしれないですけど、まあ5点ですからね(笑)

 人と比べるどころか、見えない神と自分を比べた。その上で、麻雀をする人類を5点前後とした。実際、麻雀という競技は実力ではいかんともしがたい要素も多い。どれだけ研究を重ねたところで、「確率」という壁に阻まれ、長期リーグで勝率50%にも届かない。30%でも超優秀だ。プロにとって、平均順位が0.1上がるか下がるかが一大事。そんなわずかな差のために、多井は研究をやめない。プロだけでなくアマチュアの麻雀まで研究対象とし、自分にない思考・選択があれば取り入れる。「こいつ弱いなっていうものでも、もしかしたらこっちの方が正しいんじゃないかと、肯定して見るようにしています。それを受け入れるところから始まりましたね、僕のプロ人生は」と、麻雀に対しては恐ろしいほどに低姿勢だ。

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