1995年の元日、プレステを救ったソフト『闘神伝』 激しいハード戦争中に登場

引用元:マグミクス
1995年の元日、プレステを救ったソフト『闘神伝』 激しいハード戦争中に登場

 1995年1月1日にタカラから発売されたプレイステーション用対戦格闘ゲーム『闘神伝』は、セガサターンに対し当時劣勢に立たされていたプレイステーション陣営にとって貴重な対抗馬となりました。2019年に開催された『PSアワード2019』ではプレステ25周年特別賞を受賞するなど、現在でも存在感を示している『闘神伝』を購入して楽しんだ記憶を持つライターの早川清一朗さんが、当時の思い出を語ります。

【画像】スケスケの衣装で戦う「エリス」にゲームファンは釘付け

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 1994年冬、ゲーム好きな人たちは、最新鋭のゲーム機「プレイステーション」と「セガサターン」のどちらを買うか、迷いに迷っていました。
 
 今でこそプレイステーションは世界的な名声を確立したゲーム機としての地位を保っていますが、当時、ゲーム機と言えば任天堂のファミコン、スーパーファミコンが大きな勢力を占めており、さらにPCエンジン、メガドライブがその後を追っていました。

 そこに現れたプレイステーションは、発売前から強力な宣伝広告を打ち続けて知名度を獲得。対するセガサターンも負けじとCMや雑誌広告を送り出し、発売前から両ハードの争いは極めて激しいものとなっていました。

 両ハードの発売当初は人気3D格闘ゲーム『バーチャファイター』をローンチタイトルとして投入したセガサターンが売れており、『リッジレーサー』以外有力なタイトルを持たないプレイステーションは後を追う形となっていました。

 本音を言えば「両方とも欲しい」というのがゲーム好きたちの本音でしたが、セガサターンの小売り希望価格が44800円、プレイステーションが39800円と高価だったため、どちらか片方を手に入れるのすら、そう簡単な話ではありませんでした。

 筆者は当時、大学生でアルバイトをしており、買おうと思えばどちらかひとつは買える貯金がありました。最初はセガサターンを買おうと考えたのですが、実は『バーチャファイター』はそれほど得意なゲームではなかったので、他に何か面白いゲームは出ないだろうかとしばらく購入を控えることにしたのです。

 とはいえプレイステーションもあまりピンと来るソフトがなく、こちらも買うのを迷っていました。そんな状況を一変させたのが、『闘神伝』だったのです。

 プレイステーション初の対戦格闘ゲームとして1995年の元日に発売された『闘神伝』は、当時としては破格の美麗なグラフィックスでデモを見るゲーム好きたちの目をくぎ付けにしました。特に短剣を手に華麗に戦う踊り子「エリス」のシースルー衣装は今までのゲーム機ではとうてい不可能と思えるくらい印象深く、次世代ゲーム機ハードウェア戦争にいくらかの影響を及ぼすほどの魅力にあふれていました。

 そう、筆者はエリス目当てでプレイステーションを買うことにしたのです。