<2019年女性アイドル>坂道グループ躍進、現役アイドル結婚、卒業…激動の1年を振り返る

<2019年女性アイドル>坂道グループ躍進、現役アイドル結婚、卒業…激動の1年を振り返る

 まもなく2019年が終わりを迎える。昨年は相次ぐメンバーの卒業やグループの解散が目立った女性アイドル界だが、今年もさまざまなトピックが目立った。心機一転で躍進を遂げたグループや、かつて“戦国時代”とまで称された現代アイドル界の黎明(れいめい)期を支え続けてきたメンバーの卒業。さらに、常識を覆す決断で彼女たちに新たな希望をもたらしたメンバーもいた。いま一度、過ぎゆく年の最後に振り返ってみたい。

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■改名を境にして第三勢力として躍進した日向坂46

 欅坂46のアンダーグループであった“けやき坂46”が、2月に“日向坂46”へ改名して以降の躍進はやはり特筆すべきトピックだ。

 3月発売の1stシングル「キュン」は、初週47.6万枚を売り上げてオリコン週間シングルランキングの1位を獲得。「女性アーティストの1stシングルによる初週売上枚数」で歴代1位となり、さらに、2016年4月発売の先輩グループである欅坂46の1stシングル「サイレントマジョリティー」が記録した26.2万枚を上回り、坂道グループにおける期待値の高さをみせつけた。

 以降、同グループは7月発売の2ndシングル「ドレミソラシド」や10月発売の「こんなに好きになっちゃっていいの?」でも初週40万枚超の売上げを記録。女性アーティスト史上で初の「1stシングルから3作連続での初週40万枚超え」を達成し、9月には自身最大規模となったさいたまスーパーアリーナ公演で2万人を動員した。

■次世代メンバーたちの活躍も目立った欅坂46・乃木坂46

 後輩グループの躍進が目立った一方、欅坂46では2期生たちの活躍も目立った。

 昨年行われた「坂道合同新規メンバー募集オーディション」を経て同年12月に欅坂46に加入した9人は、4月に初の単独イベント「欅坂46二期生『おもてなし会』」を東京と大阪で開催。グループの冠番組『欅って、書けない?』(テレビ東京)でも、彼女たちをフィーチャーした「殻を破りたい2期生たち」や「2期生の運動能力をチェックしよう」といった企画が組まれ、それぞれのキャラクターがよりきわだつようになっていった。

 さらに、グループとしてもう一つ上げたいのが選抜制への移行だ。これまでは全員選抜制を取っていた欅坂46だが、9月に先述の冠番組で、次回作となる9thシングルにおける17人の選抜メンバーを発表。平手友梨奈や小林由依、渡邉理佐らが選ばれた一方で、ダンスパフォーマンスに定評のある鈴本美愉が落選するなど、ファンの間に動揺も広がった。

 そして、坂道グループ全体を俯瞰(ふかん)してみると、乃木坂46に“世代交代”の波が感じられたのも大きなトピックだった。11月に東京・代々木第一体育館で行われた「乃木坂46 3・4期生ライブ」に象徴されていたが、グラビアでの活躍も目立った3期生の与田祐希や山下美月、4期生の遠藤さくらなど、次世代の活躍が期待されるメンバーたちも存在感を強めていた。

■長いキャリアを誇りながらもアイドルに終止符を打ったメンバー

 グループに新風が吹き込む一方で、女性アイドル界では相当のキャリアを誇ったメンバーたちの卒業も目立った。

 昨年10月に卒業と芸能活動終了を発表した元・でんぱ組.incの夢眠ねむは、1月の日本武道館公演をもって約10年にわたるアイドルとしての活動に終止符(その後、12月にバカリズムとの結婚を発表したことにも驚きの声が上がった)。元・AKB48グループの指原莉乃も、4月に横浜アリーナで開催した自身の卒業公演を経て約11年に及んだアイドルとしての人生を締めくくった。

 また、下半期にかけては、ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)からの卒業メンバーが続いたのも特筆すべきトピックの1つだ。

 6月にはJuice=Juiceで初代リーダーを務めていた宮崎由加がアイドルとしての半生にピリオドを打ち、続けて、育成期間から数えて約15年間在籍していたハロプロと、アンジュルムの双方をリーダーとしてけん引していた和田彩花が卒業。さらに、アンジュルムからは、黎明期を支えてきた勝田里奈と中西香菜も卒業し、グループが“第二章”へ向かったことも大きな話題を集めた。

 ほかにも、9月の東京・明治神宮野球場での公演をもって約8年に及ぶアイドル生活に幕を下ろした乃木坂46の初代キャプテン・桜井玲香や、来年4月に行われる横浜アリーナ公演での卒業を発表したAKB48の“最後の1期生”である峯岸みなみなど、時代の節目を思わせるメンバーたちの去就がとりわけ注目されていた。

■現役でありながら結婚を決断したメンバーたち

 近年、女性アイドルのセカンドキャリアにもスポットが当たる中、現役として活動を続けながらも新たな可能性を見出したメンバーたちの決断もあった。

 衝撃が走ったのは、2月に結婚発表をしたNegiccoのNao☆だ。15歳から活動を続けてきた彼女は、公式サイトで「人生の半分を過ぎた自分の節目の年は精一杯Negiccoの活動に専念させていただき、31歳でまた新しい一つのスタートをきりたいと思いました」として、4月に空想委員会のベーシストである岡田典之と入籍することを表明。女性アイドル界の常識を覆すような決断ではあったものの、SNS上では「おめでとう」といった祝福の声が溢れていた。

 さらに、9月にはでんぱ組.incの古川未鈴も、Zepp DiverCity Tokyoで行われた単独公演でファンを前に漫画家・麻生周一との結婚を発表。のちに自身のブログで「(アイドルという職業に)自ら一石を投じる。ファンの方が離れてしまうかもしれない。とにかく不安だらけの発表でした」と思いをつづった古川は「結婚してもアイドルが出来るような文化になるといいな」と、自身の生きる世界へ思いを巡らせた。

 変化と一言で片付けるには、言葉がとても追いつかないほどにめまぐるしかった2019年の女性アイドル界。東京オリンピックも開催される2020年にはどのグループがシーンをけん引し、誰が衝撃をもたらしてくれるのか。その動向からは、まだまだ目が離せそうにない。(文:カネコシュウヘイ)