カラーで蘇る第一次世界大戦の記録…ピーター・ジャクソン監督『彼らは生きていた』予告完成

カラーで蘇る第一次世界大戦の記録…ピーター・ジャクソン監督『彼らは生きていた』予告完成

 映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどで知られる名匠ピーター・ジャクソン監督が、第一次世界大戦の記録映像を再構築したドキュメンタリー映画『They shall not grow old(原題)』が、邦題を『彼らは生きていた』として2020年1月25日に公開されることが決定。日本版の予告編も完成した。

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 本作は、第一次世界大戦の終戦から100年を迎えた節目となる2018年に、イギリスで行われた芸術プログラム「14‐18NOW」と帝国戦争博物館が共同制作し、帝国戦争博物館に保存されている記録映像を再構築したドキュメンタリー映画。イギリス本国のみならず、2019年度のアメリカ・ドキュメンタリー部門でナンバーワンのヒットを記録した。

 ジャクソン監督は、2200時間以上あるモノクロでサイレント、さらに経年劣化が激しかった100年前の記録映像に対し、修復、着色、3D化という3段階の作業を400人以上のアーティストを動員して実施。修復作業では、バラバラのスピードで撮影されていた古い映像を現代の24フレームに修正するため、足りないフレームを作成するなど今までにない最新のデジタル技術を施した。また、大戦当時は録音技術がなかったため、BBCが所有していた600時間以上ある退役軍人たちのインタビュー音声や、兵士たちが話す口の動きを読唇術のプロが解析した言葉、効果音を追加。完成作はまるでジャクソン監督に魔法をかけられ、命を吹き込まれたかのような仕上がりとなっている。

 日本版の予告編は、口笛で奏でられる第一次世界大戦の軍歌に乗せ、粒子の荒い不鮮明なモノクロ映像の中でイギリス兵たちが行進する場面からスタート。モノクロ映像の横には、「1914年から1918年まで第一次世界大戦を経験した。その時戦った兵士たちは白黒で沈黙の戦場にいたのではなかった。彼らは生きていた。鮮やかな世界に」という言葉が添えられる。

 その後、映像の舞台が戦場へ移ると、リアルな着色が施された修復後の映像に。今まで遠い過去の出来事としてしかとらえられなかった記録映像が、その瞬間から、菱形戦車や馬車、塹壕での兵士たちの姿など、躍動感あふれる映像へと変化していく。「映画の撮影だぞ」とカメラを意識しながら話す若い兵士や、カメラ目線で笑顔を見せる兵士たち一人ひとりの表情も生き生きと映し出され、現代に撮られた映画と見紛うほどの映像になっている。

 ジャクソン監督は、幾度となく命を危険にさらしながら手回しで撮影していた当時のカメラマンに思いを馳せ、「記録を残すために撮影していたのだから、出来ればカラーで撮影したかっただろうし、誰もが映像は出来る限りよく見せたいと思うはず」とコメント。本作については「現代の技術が、100年前のカメラマンに救いの手を差し伸べた映画なんだ」と語っている。

 映画『彼らは生きていた』は2020年1月25日より全国順次公開。