サンキュータツオはなぜミルクボーイのM-1優勝を的中できたのか

サンキュータツオはなぜミルクボーイのM-1優勝を的中できたのか

 22日に生放送された「M―1グランプリ」決勝戦。史上最多の5040組のエントリーの中から、見事栄冠を手にしたのは結成12年目のミルクボーイ。決勝に進出した10組のうち7組は決勝戦初出場という、フレッシュな顔ぶれが揃う決勝となった。

 しかし、その10組の中から「最終決戦」に駒を進めた3組(ミルクボーイ、かまいたち、ぺこぱ)と、ミルクボーイの優勝をツイッター上で“予言”していた人物がいた。

 ツイートしていたのは、芸人のサンキュータツオ(43)。タツオはお笑いコンビ「米粒写経」として活動する傍ら、早稲田大学大学院で日本語やお笑いを研究。現在は一橋大や成城大で講師を務める“学者芸人”だ。

 タツオは12月4日に開催された準決勝で、25組が9組に絞られた時点でこうツイートしていた。

「今年のM―1 ミルクボーイ、オズワルド、ぺこぱ 展開によってはかまいたちで最終決戦で、ミルクボーイ優勝が観たい」(12月5日)

 決勝戦放送後は、「タツオさん! 大当たりじゃないですか!」などと的中を驚くフォロワーのコメントが投稿されていたが、本人に真意を聞いてみた。 サンキュータツオはなぜミルクボーイのM-1優勝を的中できたのか (サンキュータツオのツイッターから)

今年の裏テーマは“かけあい重視”

「3回戦から準々決勝に残ったメンバー(296→106組)、準々決勝から準決勝に残ったメンバー(106→25組)を見ていたら、今年は“かけあい重視”が裏テーマなんだと気付きました。かけあいとは、いかにも自然に見える会話のやりとりの中で、笑いを取りにいくスタイル。そこでのボケやツッコミが一風変わっていて、おもしろいコンビが残っていたんです」

 確かに決勝戦に出場した(敗者復活した1組を含む)10組は“かけあい”の猛者揃い。

 特に上位3組は、番組内の紹介VTRで“ナニワスパイラル”(ミルクボーイ)、“憑依する漫才”(かまいたち)、“ツッコミ方改革”(ぺこぱ)というキャッチフレーズが付けられており、オリジナリティーにあふれたかけあいを見せていた。

「かけあいによって、どのコンビも、グルーブ感やバイブス(ノリ)を十分に生み出していた。ボケとツッコミがハッキリ分かれることはなく、ツッコミも単に“なんでやねん!”的なものではない。ひねりがあるんです。それによって、伝統的な漫才なんだけど新しく見える。オズワルドも、(声を張り上げない)“引き芸”でしたが、グルーブ感は十分にあったので、もっと評価されてもよかったと思いました」(タツオ)

 さらに制作サイドの意図もこう推測する。

「ナイツの塙さんも著書の中で指摘していましたが、出場資格が『結成15年以内』に延長されて以降のM―1は、決勝進出常連組による単なる“ウマイ人大会”になる傾向がありました。“新鮮さを重視したい”という制作側の意図もあったのかも知れません」(タツオ)

 ミルクボーイの優勝は予想通りだったというわけだ。