繰り返し映像化される横溝作品「金田一耕助」が愛され続ける理由

繰り返し映像化される横溝作品「金田一耕助」が愛され続ける理由

 21日に放送されたフジテレビ系のスペシャルドラマ「悪魔の手毬唄」。原作はご存じ、日本を代表する作家のひとりである横溝正史だ。

 名探偵・金田一耕助を演じたのは、昨年「犬神家の一族」でも金田一を演じたNEWSの加藤シゲアキ(32)。

「ボサボサ髪と帽子がトレードマークの金田一。これまでいろんな役者さんが演じてきました。映画の金田一といえば石坂浩二、テレビシリーズで長く演じた古谷一行、ほかに渥美清や鹿賀丈史、豊川悦司、吉岡秀隆、ジャニーズでいえば稲垣吾郎も演じましたね」(テレビ誌ライター)

 俳優であれば、誰もが一度は演じてみたくなる。金田一耕助とは、そんなキャラクターなのかもしれない。

「加藤さんは頭をかいてもフケ感のない、爽やかめの金田一でしたね。頭脳明晰で聡明な感じがよく出ていたと思います」と話すのは、横溝作品の大ファンだという脚本家の葉月けめこ氏だ。

 それにしても昭和の時代から令和元年まで、横溝作品はなぜこうも繰り返し映像化されるのだろうか。

「横溝さんの原作は、映像が具体的にイメージしやすいんです。テレビや映画製作に関わる人なら『この世界を映像化したい』と感じる人も多いはずです。さらに言うと、巧妙なトリックと伏線の素晴らしさを堪能できるのはもちろん、古い日本の村に伝わる風習や因習など、グロテスクで淫靡な世界の魅力もある。横溝作品が視聴者と製作者から愛される理由は、そういうところにあるのでは」(葉月けめこ氏)

 ただ、ネット上には加藤・金田一の「悪魔――」に対して〈ずいぶんソフトになった〉〈おどろおどろしさが減った〉〈昭和の横溝作品はもっと怖かった〉なんて声も。昭和と令和の横溝作品を比べて〈物足りない〉と感じる人は多いようだ。

「今のご時世では、猟奇的なシーンを強調しすぎるのは難しい。エグさ、グロさと耽美さを映像で追求していた昭和の横溝作品が懐かしいですが、これも時代の流れで仕方ないのかもしれませんね」(前出のテレビ誌ライター)

 今後、金田一を演じてほしい俳優は誰か?

「佐藤隆太さんは、金田一のどこか飄々としたイメージによく合うと思います。それから、松山ケンイチさん。松山・金田一の場合はドラマより映画が似合うかと。『見てはいけないものを見てしまった』という後ろめたさが横溝作品の醍醐味でもある。松山・金田一で、容赦なく重くドロドロとした横溝映画を見てみたいですね」(葉月けめこ氏)

 金田一はこの俳優で、と妄想する楽しさがあるのも、人気の秘密なのかもしれない。さて、あなたの金田一は?