舞台は高校 矛盾、ひずみ、歯がゆさ…それでも『救い』は必ずある「劇団俳優座」教育に携わる人たちにも見てほしい

引用元:中日スポーツ
舞台は高校 矛盾、ひずみ、歯がゆさ…それでも『救い』は必ずある「劇団俳優座」教育に携わる人たちにも見てほしい

 劇団俳優座の新年を飾る舞台「雉はじめて鳴く」が来年1月10日、東京・六本木の俳優座劇場で初日を迎える(19日まで)。高校という限られた空間を舞台に、生徒、教諭、親のそれぞれの思いが重なり合いながら生じる矛盾とひずみを描く、誰もが学生時代を思い起こしてしまう物語。出演者らは「見る人は歯がゆい思い、やりきれなさを感じるかもしれないが、そこには『救い』もあるはず」と仕上げの稽古に余念がない。

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 高校を舞台に選んだ理由を書き下ろした劇作家の横山拓也さん(iaku所属)は「自分の子どもが学校に通うのを見て、変化があることに気づいた。見つめると、いろんな見方ができる。加えて教員、学校でのさまざまなニュースが流れる現代、とてもチャレンジングな題材と考えた」と強調。演出の眞鍋卓嗣さんも「たとえ善しあしがあっても誰にも学生時代の先生との思い出がある。今の教育現場は複雑な環境だからこそ、そこを描きたい」と重ねた。

 ストーリーは、保亜美(35)演じるスクールカウンセラーが高校に着任、2年生の担任でサッカー部副顧問役の若井なおみ(42)と友人となるが、相談室に来た女子生徒が同級生の男子と若井演じる教諭に関係があるとの疑いを告げる。その男子の母親は常軌を逸したモンスターペアレントだった―。

 母親役の清水直子(48)は「なぜ、彼女がそこまで逸脱したのか、息子を愛してるのに支配することしかできない。見る人は嫌悪感を持つ半面、『自分もそうなったかも』と受け取る人もいるのでは」と難しい役柄を説明した。

 担任役の若井は「生徒への気持ちが恋愛なのか、母親にない母性を求めているのか。生徒に寄り添う距離感をどう演じるか」と、自問自答した。それぞれの苦悩に向き合うカウンセラーを演じる保は「中立の立場をどう維持するか、組織の中ではどうしても先生寄りになりがち。それが怖いと思う」と話す。

 出演者たちは現実の教育現場に携わる人たちにも見てもらいたい、と声をそろえて期待している。

 出演はほかに、天野真由美(67)、山下裕子(56)、河内浩(55)、塩山誠司(51)ら。